2011年05月09日

どうして製造業にTWIが必要か?JI(仕事の教え方)その1-標準

HR研究会事務局員 上海麗宝商務諮詢有限公司 董 暁晨


[過去と現在]

戦後60年、日本の発展は世界を驚かせました。

そして、「Made In Japan」は世界中に誇れるものとなりました。

日本の製造業を代表できるトヨタ、トヨタの成功に大きいな役割を果した「TPS-トヨタ生産方式」、そして、「TPS」の基礎である「TWI」。この60年間の宝物であります。

しかし、それは中国の日系企業に忘れられていました。

世は2011、

中国の位置づけが「世界の工場」から「世界の市場」へと成長し、西部開拓の進展もあって「安くて豊富な労働力」という姿は中国から消えつつあります。

「中国もこれからは品質勝負か!」とやっと気づいた中国の日系企業は自国の製造業の発展史を掘り出し、「TPS」に視線を向けました。

しかし、それは以前の記事にも書いてあったように、「小学1年生に夏目漱石の文章を読ませる」のと同様で、柱抜きで天井を作っています。

[TWIとは?]

TPSの真髄は「カイゼン(改善)」であり、そして実施するにあたって必要となる技能は「TWI」であります。

「TPS」の理念は表面的なもので、実施するにあたって必要となる“技能”は「TWI」です。理念や知識だけを熟知しても、実行させる“技能”がないと、折角の宝物が台無しになります。

「TWI」-Training Within Industryの略語で、即ち企業内訓練です。

第二次世界戦争中のアメリカにおいて、兵器の生産を確保するにあたって、多国籍の人々を現場で抱えていました。生産効率そして品質を確保する為の現場の管理そして教育方法として「TWI」は作られました。

「TWI」には3つのコースがあります。「JI-仕事の教え方」、「JR-人の扱い方」、そして「JM-改善の仕方」です。〔2011年、JS(安全な仕事の仕方)が加わりました〕

では、何故製造業にはTWIが必要かについて、まず「JI-仕事の教え方」からみてみましょう。

[仕事の教え方]

教えることは技能です。

作業者を育成し、継続的な成長を目指す為の重要な技能です。

成果として、ムダ、手直し、不良品の減少/職場安全意識を高めて災害の減少/職場で活用する道具や設備の破損の減少などがあります。

良い教え方というのは、正確に 安全に 良心的に 速く 仕事を覚えさせる方法です。

今よく使われている方法として、まず言って聞かせるという方法があります。

仕事のやり方を、人に言って聞かせるのは、適切にやれば良い方法かもしれませんが、限度があります。

次にやって見せるという方法も職場でよく使われています。

この方法もまた適切にやれば良い方法かもしれませんが、やはり限度があります。

もちろん、十分で口で教えられるか、見せてもらえば、その仕事を覚えることはできます。しかし、これは確実で信頼できる教え方ではありません。

ここに、どんな場合でも使えば必ず効果のある、確実で信頼できる方法があります。この方法というのは、日本の産業界で多くの実績を挙げている「TWI-JI」です。

[作業分解]

「JI-仕事の教え方」の真髄は「標準」とも言えます。

「作業分解」、「四段階法」何れも「標準」に基づき、求めています。

TWIの3つのコースには、それぞれTTT(トレーナ養成コース)があります。

JIのTTTに参加し、日本産業訓練協会認定TWI-JIトレーナ資格を取った者たちの指導を受けると、恐ろしい程、セリフまでほぼ同じ指導方をしています。

指導するには、事前準備という認識が極めて大切です。

多くの現場の指導者は、教える前に仕事を考えることが少ない為、教えるべき大事な点を見逃してしまいます。そして自身が思っている程、仕事を理解していない為、指導する際に伝える方法、手段が考えられなくなります。

「作業分解」で解決できます。

「作業分解」とは、作業標準書(WIP,SOP)+監督者の作業経験+自問法で整理したものです。教える作業の順序、急所を整理する指導者に大変重要な「標準」です。

[標準]

「中国のワーカーは標準作業を守らなくて困る」と、日本人の工場管理者からそのような嘆きを聞いています。

それは、多くの製造業を悩ませている様です。

では、標準作業を守らないとどうなりますか?

例えば、縫製作業で、標準ピッチは1インチ当たり7.5針ですが、熟練ワーカーはスピードアップの為にミシンを1インチ当たり8針に設定し縫製を始めました。

その結果、言うまでもありません、不良が大半でした。

中国人の頭はある意味合理主義で、ついつい近道、即ち手間の掛からない方向に行ってしまう傾向があります。

標準作業を守ることは極めて大事ですが、悲しいことに、多くの企業では守るどころか、標準すらないところも少なくありません

変な言い方かもしれませんが、

標準をきちんと決められているところでは、ワーカーは頭を使う必要などありません、手だけ動かせばよい、ただ標準に従って機械的に働いていれば済みます。(頭は改善に使う)

今数多くの製造業はTPSを推進して、毎日改善・改善と言っていますが、その基礎である「標準作業」さえも守れないところに改善など絶対無理です。

標準は見直すためにあるもの。標準があってこその改善、標準もないのに何を根拠に改善したと言えますか

特に従業員の定着率が低い今では、標準作業の大切さは一目瞭然です。誰が辞めても、新しく入ってきた人には必ず標準で教わり、標準を守っていれば、業務への影響は少なくなります。

標準を守れ!それだけでもきっと効果が見えてきます。

[次に]

また、「JI-仕事の教え方」には、「四段階法」という仕事を教える時に使う優れた方法があります。

続きは、次回にお話させて頂きたいと思います。


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