2011年02月09日(水)

“中国で働く”① 初めての海外勤務

順利包装集団 総裁 福喜多俊夫


 初めての海外勤務を命じられたあなたは、「これまでに培った経験を中国で大いに発揮してやろう」と燃えている反面、環境が大きく変わることに戸惑いを感じ、一抹の不安も覚えていることでしょう。そうです、あなたの仕事領域は日本の時より何倍も拡がります。

さあ、覚悟はよいですか?

あなたに求められていることが判っていますか?

中国で仕事をするために、まず始めにあなたの立場をはっきりしておく必要があります。出張ベースで中国へ工場管理や生産の指導に行くのか、総経理あ るいはそれに準じる経営者の立場で赴任するのか、技術あるいは営業部門の管理職として赴任するのか、によって仕事の幅もやり方も異なります。 中小企業の 駐在員の方は多くが総経理クラスとして派遣されます。 中国の会社法では「総経理とは、董事会で議決された経営方針に従い事業計画を策定し、董事会で承認された事業計画を執行する責任者」と定められています。 総経理とは会社の社長です。従業員も総経理を大きな権限と責任をもつ社長と見ています

どのような組織でもその組織の力はそこのリーダーの力以上にはならないと言われています。会社でも同じです。中国で設立した会社の力は総経理の力で決まります。 言い換えれば総経理がすべてです。

あなたはその覚悟が出来ていますか? また、あなたを送り出した日本の本社はそのことを知ってあなたを送り出していますか? あなたは本社から数字で示された目標を与えられていますか?

あなたは判断をする立場です

総経理のもとには毎日多くの問題が持ち込まれます。総経理は相談される立場であり、問題を解決する立場ですが、中国会社の社内では経営判断に関わる事項を相談する相手がいません。これが駐在員のストレスの最大要因です。

中国に赴任された方は日本で営業のリーダー、製造のリーダーあるいは管理のエキスパートとして活躍されていた方だと思います。日本本社も期待して送り出していることでしょう。

しかし、ここに誤解があります。 部門の管理者と経営者は違います。日本では多くのサポート部隊に支えられて仕事をしていますが、中国ではすべて自分で判断しなければなりません。日本に相談している暇はありません。目の前の問題を今すぐ解決しなければなりません。あなたが電話で日本に指示を仰いでいる姿を見れば、翌日から部下のあなたを見る目が確実に変わります。中国では解決策を出せない上司は無能と見なされます。

部下の尊敬を獲得する

 あなたが日常接する幹部クラスの人達はかなり現実的です。彼らはキャリアアップに貪欲で、あなたから何か得るものは無いかと観察しています。あな たと一緒に仕事をすることで得るものがあると判れば、あなたは尊敬されます。得るものがないと見切れば、自分から去っていくか、あなたを日本本社からのお 客様として丁重に遇し、あなたが任期を終えて帰国するのを待っています。

それでは、部下の尊敬を獲得するためにはどうすればいいのでしょうか? ひとつは、上に書いた「勇気を持って決めること」です。そしてもうひとつは、「知っていることは何でも親切に教えてあげる」ことです。 自分の持つノウハウを全部さらけ出せば自分の存在価値が無くなるという人がいます。そんなことはありません。知識を小出しにせず、全部教えても大丈夫です。教えたことを全部実行出来る人はいません。

もし出来る人がいたら、その人はあなたの貴重なパートナーになってくれます。

楽しく仕事をする、楽しく仕事をさせる

 中国までやってきて、毎日鬱々として仕事をするほどつまらないことはありません。

人生は楽しくないと意味がありません。仕事は楽しくやりましょう。会社の中では毎日、いろいろなトラブルが起こります。 トラブルに遭遇したなら、「これでまたひとつ、中国ビジネスのノウハウが積みあがるぞ」と、問題を解決することに楽しみをもつようにしましょう。

状況を変える”ことこそが組織を率いるリーダーの最大の役割です。社長の立場で仕事が出来るチャンスなど滅多 にあるものではありません。仕事人としてこのチャンスを最大限活用して自分の幅を広げ、一方では中国という外国を大いに楽しみましょう。家族で赴任される 方は家族そろって中国各地を旅することをお勧めします。


 これから数回にわたって“中国で働く”シリーズを掲載していきます。

中国ビジネスが始めての方には「中国ビジネス心得帖」を差し上げます。下記へメールしてください。

福喜多 俊夫

順利包装集団(総公司:香港)総裁 (上海在住)

専門分野
海外子会社管理(経営管理・工場経営・品質保証)、目標管理、包装・物流情報

カネカ勤務中は米国、ベルギー、東南アジア(シンガポール、マレーシア、タイ、台湾、フィリピン、中国、香港)の子会社管理、工場指導を担当し、関連子会社に10年ほど出向していたこともあるので、中小企業、特に海外の中小工場経営が得意。


【資格】
◇技術士(経営工学部門)
◇APECエンジニア(工学部門)


【参加団体】
◇大阪能率協会
◇技術士包装物流会
◇(財)海外職業訓練協会(OVTA) 国際アドバイザー

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