2012年06月13日(水)

“中国で働く” ⑭ 「改善活動」を楽しむ時代

順利包装集団 福喜多俊夫


 日本にどうして「現場からの改善活動」が根付いたのか? それは高度経済成長時代に「改善活動が自分の収入に大きく影響する」ことを労働者が実感し、改善活動を生活向上の喜びとして感じることが出来たからではないでしょうか。筆者は高度経済成長期に製造業に身をおいていたのでそれを実感として感じてきました。

 今、中国でも現場労働者が「改善活動を楽しむ」時代に入りつつあるのではないかと思います。 私もこれまで「中国では現場からの改善が期待できない」と嘆いていた1人ですが、どうやらそういう時代ではなくなってきたように感じます。我々日本人管理者が「現場からの改善が期待できない」と思い込んでいるだけで、すでに中国社会には労働者が「改善活動を楽しむ」素地が出来あがっています。あとは現場に「改善を楽しむ」仕組みを作ればよいだけなのです。

労働者の欲求変化

 高度経済成長時代、日本経済は右肩上がりで成長を続け、企業は生産性向上に力を注ぎ、現場労働者の工程改善、品質改善の努力はそのまま企業業績に結びつき、労働者の賃金は会社の業績に比例して右肩上がりで上昇しました。今の中国はそれを再現し始めているのではないでしょうか。

 数年前まで中国は低賃金を武器に世界の工場として位置づけられ、工場労働者は低賃金でも生活できることだけで満足できました。しかし、中国社会が少しずつ豊かになり、工場労働者の欲求も変化してきました。

 人々はより高い給料で、より豊かな生活を楽しみたいと思うようになっています。

会社の業績が向上を労働者に還元する仕組み

 「中国人は会社の業績には関心が無い。業績が上がらない会社は辞めればいいだけと思っている」と中国ビジネスハウツウ本には書いてあります。 しかしそれは、会社の業績が上がってもそれを従業員に還元しようとしてこなかっただけで、「会社の業績が上がれば、自分の給料も上がる」ということを実感できるようにすれば、現場労働者も含めてすべての従業員の意識は必ず変わってくると思います。

 1960年代1970年代の我々がそうでした。多少成長速度が低下したとはいえ、中国は年8%近辺の成長がまだまだ続きます。そして、この先成長モデルが変化し、より高度な工業社会が出現するに違いありません。工場経営者は「現場からの工程改善、品質改善」を奨励し、それによって生産性が上がり、コストが下がって会社の業績が向上すれば、その利益を労働者に還元し、「改善活動が自分の収入に影響する」ことを労働者が実感出来るようにすべきです。

思い込みを捨てて、労働者が改善を楽しめる工場を

 日本の製造現場は元気がなくなり、以前のような活発な現場からの改善活動も見られなくなっているようです。 高度経済成長時代を経験した日本人技術者が本気で指導すれば、中国人労働者は「改善を楽しみ」、工場は見違えるように活気に満ちて、生産性が上がるに違いありません。「中国では現場からの改善は期待出来ない」という思い込みを捨てて、現場労働者が改善を楽しめる工場を作ろうではありませんか。

  中国で指導している日本人は日系企業だけにいるわけではありません。日本人技術者は中国系企業も指導しています。日本人技術者に指導された中国系企業の品質が大幅に向上し、これら中国系企業は日系企業を脅かす存在になるかもしれません。しかし、日系企業はそれを恐れていては進歩がありません。日系企業は現地調達する資材の品質が向上したことを喜び、現地調達率を高め、中国市場での存在感を高める努力が必要です。

福喜多 俊夫

順利包装集団(総公司:香港)総裁 (上海在住)

専門分野
海外子会社管理(経営管理・工場経営・品質保証)、目標管理、包装・物流情報

カネカ勤務中は米国、ベルギー、東南アジア(シンガポール、マレーシア、タイ、台湾、フィリピン、中国、香港)の子会社管理、工場指導を担当し、関連子会社に10年ほど出向していたこともあるので、中小企業、特に海外の中小工場経営が得意。


【資格】
◇技術士(経営工学部門)
◇APECエンジニア(工学部門)


【参加団体】
◇大阪能率協会
◇技術士包装物流会
◇(財)海外職業訓練協会(OVTA) 国際アドバイザー

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