2012年09月18日(火)

“中国で働く” ⑰ 工場管理にも割れ窓理論

順利包装集団 福喜多俊夫


 「ビルの最初の1枚の破れガラスを放置すると、すぐに次々と割られ手のつけられない廃墟ビルの街に転落する」、ゆえに、破られたガラスは「即座に修復すること」、そして「破ったものを厳罰にすること」、さらには「破られないように、事前に防止を考える」・・・「割れ窓理論」

割れ窓理論

 「割れ窓理論」は、軽微な犯罪も徹底的に取り締まることで凶悪犯罪を含めた犯罪を防止できるとする理論で、1982年にアメリカの犯罪学者ジョージ・ケリングが考案したもので、ニューヨーク市のジュリアーニ市長がケリングを顧問としてこの理論を治安回復に応用したのは有名です。

割れ窓理論は敗れ窓理論、壊れ窓理論とも言われています。

 割れ窓理論は多くの応用例が報告され、ビジネスへの応用も多いですが、批判的な意見も結構あってニューヨークの成功例も、たまたま景気回復期にあたりニューヨークの失業率が減少する時期に合致しただけとも言われています。 しかし、割れ窓理論は工場管理には大いに有用だと確信しています。

割れ窓理論の上海万博への応用

 私は上海万博へ2回行きましたが、リハーサルの時の混雑と会場の汚れ方をテレビで見て、1日に40万人も入場者があれば会場はゴミだらけになるのではないかと、心配半分、興味半分で会場に行きました。最初が開幕から2週間目の5月中旬で入場者は約15万人、2回目が8月中旬で入場者は40万人でした。 2回とも会場にはゴミは殆ど落ちておらず、ゴミ箱の周辺も実に清潔でした。 私はこれを見て、「万博事務局は割れ窓理論を実践した」と思いました。

 上海万博ではリハーサルの経験(兆候発見)から、ゴミ箱が少ない→ゴミ箱を増やす、小さい入れにくいゴミ箱には入れてくれない→口の広い大きなゴミ箱を設置する(即時対応)、ゴミが少しでも落ちていると続いて平気で捨てる→会場清掃アルバイトを大幅に増やし常時巡回→誰かがゴミを捨てればすぐにその人の目の前で拾う(一種の信賞必罰)、という手順で割れ窓理論を実践しています。

割れ窓理論の工場管理への応用

 割れ窓理論の工場管理への応用のポイントは、「兆候発見」、「即時対応」、「信賞必罰」です。工場は「割れ窓理論」が実にたやすく成立します。 皆さんの工場でもいっぱい兆候があると思います。 工場建屋の裏とか建物の間などに雑草が生えたままにしておくと、いつの間にかそこはゴミ捨て場に化してしまいます。 窓ガラスが1枚割れたのをすぐに修理せずにそのままにしておくと、次が割れても気にしません。電球が切れた場合も同じです。 5Sの徹底も割れ窓理論そのものです。 「兆候発見」、「即時対応」、「信賞必罰」が工場管理には欠かせません。

福喜多 俊夫

順利包装集団(総公司:香港)総裁 (上海在住)

専門分野
海外子会社管理(経営管理・工場経営・品質保証)、目標管理、包装・物流情報

カネカ勤務中は米国、ベルギー、東南アジア(シンガポール、マレーシア、タイ、台湾、フィリピン、中国、香港)の子会社管理、工場指導を担当し、関連子会社に10年ほど出向していたこともあるので、中小企業、特に海外の中小工場経営が得意。


【資格】
◇技術士(経営工学部門)
◇APECエンジニア(工学部門)


【参加団体】
◇大阪能率協会
◇技術士包装物流会
◇(財)海外職業訓練協会(OVTA) 国際アドバイザー

この顧問・専門家のブログを見る

メール

福喜多 俊夫
このHRAホームページの先頭へ