2014年09月22日(月)

“中国で働く” 29 「品質管理、究極は人」

順利包装集団 福喜多俊夫


 中国の食品メーカー、上海福喜食品(上海)が使用期限切れの肉を加工食品に使っていた問題が大きく報じられましたが、ここから多くのことを考えさせられました。


 上海福喜食品は米国の大手食品メーカーOSIグループの100%子会社で、最新の加工設備を持ち、厳格な品質管理規則が定められていたとのことです。日本マクドナルドやファミリーマートをはじめ、多くの取引先がこの設備と整った品質管理マニュアルを見て安心して取引をはじめたことは容易に想像できます。


 しかし、いくら最新の設備を使い、厳格な品質管理基準を作っていても、それを管理し、実際に作業をするのは人間です。プログラム通りに動くロボットが作っていたわけではありません。管理者と作業員に基準を守ろうという強い意思がなければ、どんな素晴らしい機械を使い、完璧な作業マニュアルが準備されていたとしても何の意味もなしません。皆さんも経験されているように、中国では管理者が守らない手順は作業員も決して守りません。上海福喜食品の場合、経営者の関与については疑われていますが、経営者が日常的に品質管理について厳しく管理していたとはとても思えません。少々の期限切れは容認する姿勢があったのでしょう。また、歩留まりを管理することに熱心で、床にこぼれた原料を再投入することも黙認していたのでしょう。


 中国の会社と取引する場合、我々は工場の設備を見、工場の管理状態を観察し、品質管理の諸資料を閲覧して品質レベルを判断します。しかし、今回の事件は品質管理の「究極の所は人の問題」という、もっとも本質的な課題を再認識させてくれました。


 十数年前、中国で仕事を始めた頃はサンプルと量産品の品質が異なるのは日常茶飯事、段ボールは納入ロット毎に色が異なるといった中で、性悪説に立って厳しい管理の目を注いでいました。物を買うときは総経理が信頼出来る人物であるかどうかが第一判断でした。


 十数年経って各企業の設備は大幅に進歩しました。いろいろなマニュアル作りも定着してきました。しかし、本質的な意識は十数年前と差がないと考えねばなりません。これはとても寂しいことですが、「品質管理は人の問題」ということを再認識させてくれるいい機会になりました。


 設備やマニュアルが整っていることを過信してはなりません。多くの物は人が作っています。これは取引先だけに言えることではなく、自社についても同じです。

福喜多 俊夫

順利包装集団(総公司:香港)総裁 (上海在住)

専門分野
海外子会社管理(経営管理・工場経営・品質保証)、目標管理、包装・物流情報

カネカ勤務中は米国、ベルギー、東南アジア(シンガポール、マレーシア、タイ、台湾、フィリピン、中国、香港)の子会社管理、工場指導を担当し、関連子会社に10年ほど出向していたこともあるので、中小企業、特に海外の中小工場経営が得意。


【資格】
◇技術士(経営工学部門)
◇APECエンジニア(工学部門)


【参加団体】
◇大阪能率協会
◇技術士包装物流会
◇(財)海外職業訓練協会(OVTA) 国際アドバイザー

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