2011年01月15日(土)

高年齢者の雇用確保措置に関する法的問題点について(日本)

福岡労務経営事務所 代表 福岡 英一


~中小企業の特例措置期間は平成23年3月末まで~


 急速に高齢化が進んでおり、社会保険と定年延長が話題となっている中国ですが、高齢化社会の先進国である日本でも、「雇用確保措置」が課題となっております。

また、中国に赴任されている方も身近な問題となりつつあります。

◆高齢者雇用確保措置について

 改正高年齢者雇用安定法(以下「改正高齢法」という)が平成18年4月1日に施行されてから4年9カ月が経過しました。

 改正高齢法では、65歳未満の定年を定めている事業主は、雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、①定年の引上げ②継続雇用制度③定年の定めの廃止(これら3つの措置を合わせて「雇用確保措置」といいます)のいずれかを講じることが義務付けられています。

◆継続雇用制度についての労使協定について

 雇用確保措置のうち、継続雇用制度について労使協定をするために努力したにも係わらず協議が調わない場合、大企業においては3年間(平成21年3月31日まで)、中小企業においては5年間(平成23年3月31日まで)の特例措置期間は就業規則等で定めをすることができることとされています。

◆継続雇用制度とは

 継続雇用制度は、「現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者を定年後も引き続いて雇用する制度」(改正高齢法9条1項2号)であり、原則として「希望者全員雇用の原則」が妥当します。

 ただし、過半数労働組合または過半数代表者との労使協定において、継続雇用の対象となる高年齢者に関する基準を定め、当該基準に基づく制度を導入したときは、継続雇用制度を講じたものとみなされます(改正高齢法9条2項)

◆継続雇用制度における対象者の選定基準の定め方

 厚生労働省の通達(平成16年11月4日職高発第1104001号)では、望ましいものとされる選定基準については、次の2要件が必要であるとしています。

 
①意欲、能力等を出来る限り具体的に測るものであること(具体性)
②必要とされる能力等が客観的に示されており、該当可能性を予見することができるものであること(客観性)

具体的な例として「社内技能検定レベルAレベル」、「営業経験が豊富な者(全国の営業所を3か所以上経験)、「過去3年間の勤務評定がC以上(平均以上)の者」(勤務評定が開示されている企業の場合)などが示されています。

 継続雇用制度から排除された従業員が、雇用契約上の地位の確認を求める訴訟を提起する事例もあり、中小企業の特例措置期間が満了するまでの間に、労使協定等によって、継続雇用制度の対象者の選定基準を締結し直す必要があるといえるでしょう。

福岡 英一

福岡労務経営事務所 代表 社会保険労務士 (奈良県在住)

専門分野
就業規則、人事・賃金制度、退職金・企業年金コンサル、生命保険活用・見直し。

京都大学卒業と同時に大手生保会社に勤務。CFP資格を取得し、ファイナンシャル・プランナーとしての活動をする中で、社会保険労務士資格に興味を持ち取得。
セミナー講師(ここが危ない人事労務管理、退職金・企業年金制度改革について、知ってトクする年金セミナーなど)多数。


◇社会保険労務士(奈良県社会保険労務士会所属)
◇CFP(日本FP協会認定)
◇1級ファイナンシャル・プランニング技能士
◇DC(企業保険総合)プランナー
◇現在:福岡労務経営事務所 代表
      関西ファイナンシャル・プランニング 代表

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