2012年02月23日(木)

中国税務・最新/やさしい移転価格・2012 ①

上海知恵企業管理諮詢有限公司 高級顧問
アジア移転価格専門コンサルティング 代表 小川 孝一

2012年

経済グローバル化の急速拡大は、すでに日本企業を中国ビジネス進出へと日常化させています。そのビジネスの範囲を測れば、地理的拡大と共に市場での相互関係の増大も大きく絡み、企業は自社の製商品に係る価格設定の場面においては、一層とその複雑化が求められます。しかし、その価格設定の場面は、中国での課税の問題となる「移転価格という税金」に包囲されていくところになります。

 

いま、中国はこの国際税務・移転価格税制を、最重点課題にしてかつ最も「美味しい税制」に仕立て上げることにまさに懸命です。その矛先は、外資企業とりわけ中国現地の日本企業が照準とされています。

移転価格での課税の問題では中国現地の日系企業に「危険がいっぱい」です。世界中の税務権限局が「移転価格」での課税に向かう嵐の中にあって、中国税務当局の「強権主義」での主導は、最たる位置に坐していると言えます。

 

2012年、中国での移転価格税法律「特別納税調整実施弁法(試行)」発布も早3年を経過して、いまや、中国税務当局の大勢は大方の学習理解も修了の時間に近付いてきたと推察できます。本年の税務調査は「底引き網仕掛け」とも予想される中、企業はどのように対処すれば課税更正から是認を勝ち取ることが出来るのでしょうか。

中国の移転価格税制は、限りなく日本の移転価格税制を追随して成立しています。

移転価格とは、日本親と中国子との間での取引価格を操作することによる利益の移転を防止目的としています。

そこでは、第三者取引価格で行われたと見做して所得を計算課税する二国間での税金の分捕り合戦となるものです。ここでの関連者間での取引価格とは、すなわち移転価格は「独立企業間価格」であること、そのことを求める税解釈の根拠となるものです。

春節明けの中国

すでに第一四半期からして中国税収入の伸長は前年度を下回る予想が濃厚です。

そのことは、これまでにも増して中国税務当局の税務調査始動が「想定以上」にスピード・アップと予見されるのです。

一方、ビジネス場面においての日本は、周知のごとく経済場面においての逆風吹き荒れた市場環境もまことに厳しい状況連続した経営が余儀なくされています。

 

それ故、日本企業は「切迫感」をもって、中国ビジネス進出を図ろうと「中堅/中小」の企業群を益々とヒート・アップさせているようです。巷間、第四次中国ビジネス進出プームとも揶揄されて、その「焙り出される」ように中国上陸を目指す日本の企業群に共通するその特徴はなになのか。

 

それは、「中国を知らない」と言うことに、「いま」もなお現実です。

日本では、「愛される税務署業務」が目標課題の当局も、ここ中国でのそれは「全く」異なります。日本では移転価格での同時文書の作成義務の完全法律化はまだ未完全です。

しかし現今、移転価格での課税厳しさ一位日本、二位インドに続いて、いま中国が第三位に急浮上しました。納税者側に「挙証責任100%」を強く求める中国の税務局の強権度は、日本のそれと比較にもなりません。地理的拡大でも、市場の相互関係でもここ中国は「強権の外国」であること、それを忘れてはならないのです。

 

2012年、中国税務局の課税審査のためのシナリオです。

先ず真っ先は、「美味しい税金」である「企業所得税と移転価格税の課税問題」がごぼう抜き予想です。

次いでは、「外国籍人の社会保険強制加入に伴う中国個人所得税の問題」、更には、国際税務にも連なる「PE(恒久的施設)課税の問題」、「組織再編に伴う持分譲渡での益金課税たる非居住者課税の問題」、「営業税から増値税改革にパイロット移行の課税の問題」、「環境税の新設検討」等々のエンドレスな中国税金劇となっています。

 

それ故、価格設定の場面においては、企業が採用の移転価格と「独立企業間価格」との差額は、まさに「移転価格のリスク」となるものです。

それは更に「美味しい税は蜜の味」となって、税務局機動の源となります。

企業が求める価格設定での場面において、当該企業が第三者との同種又は類似の取引における価格、或いは利益率に基づき算定すべき「独立企業間価格」は、多くの場合において企業はその類の第三者情報を入手することが出来ない、或いは不完全な情報の中から「独立企業間価格」を決定しなければならないというジレンマを抱えます。

 

そのジレンマは、移転価格の算定は「厳密な科学ではない」と言われる所以となって、移転価格のリスクに対処する上での「難解な税制」のレッテル化となっているものです。

(続く)

小川 孝一

アジア移転価格専門コンサルティング 代表 (上海在住)

専門分野
会計・税務管理、移転価格税、中国税務&国際税務、内部統制構築

日本および中国にて、一貫して税務・会計畑を歩んできている。
特に、国際税務に関わる移転価格税制に精通。
移転価格税に関わる対策文書/同時文書の作成、税務調査を中心として事例研究多数あり、関連セミナー講師多数。

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