2013年02月17日(日)

【緊急特報】中国での移転価格「同時文書」に変化

上海知恵企業管理諮詢有限公司 高級顧問
アジア移転価格専門コンサルティング 代表 小川 孝一


< 御社はどのように対応しますか?? >

◆背景

中国国家税務総局(SAT)の転価格税務のガイドライン『特別納税調整実施弁法(試行)』(「2号文」)の発布から既に4年を経過です。

ご存じのとおり2号法律とは移転価格「同時文書」の法律根拠となる最重要の規定となります。

この規定の税調査審査において、中国各税務機関による蓄積度数も
①企業から同時文書を収集、②審査、③評価などその過程に多くの経験が獲得された模様です。また中国国家税務総局(SAT)ではこの同時文書の「総体的な品質を高める方法」の研究が直近です。

それは、より具体的な指導を含む「規定」が公布される可能性をも含んできています。

今後中国各地の税務機関では、①同時文書の内容正確性、②完全性への要求、③同時文書の個別記載項目たる組織・経営状況・関連者取引・比較性分析・算定方法等の内容にも独自の要求が飛び出す危険が懸念されます。ますますと企業においては、この「同時文書」の準備と作成を難しくさせるものになるでしょう。

◆注目

国家税務総局SATは、同時文書は「移転価格の政策決定の過程をサポートできる記録」という考え方を表明です。

企業に対し、「移転価格決定時」(取引期間)の背景から最終的な価格政策までの説明を求めるものとなり、機能とリスクに対する説明では実際の取引や移転価格算定方法と整合するかどうか等も注意を要するものとなりました。企業は、文書化への準備と作成において①移転価格政策決定者、②移転価格設定の過程、③業界の競争状況、④産業連鎖上の関係、⑤関連する企業の組織構成・生産経営・関連者取引・機能リスク等の詳細説明が追加されていきます。

更に、⑦移転価格決定原則、⑧その方法、⑨移転価格の構成要素、⑩各年度の結果、⑪その結果と移転価格決定原則、⑫方法の差異の有無、⑬有していればその差異原因、⑭移転価格と独立企業間原則との適合性など一層の複雑説明が求められます。

◆五つの要求度数

  1. 企業組織構造
    持株構成を完全に公開し且つ各部門の職責に対する説明が必要。
  2. 生産経営状況
    第三者による業界報告書に過度に依存するのではなく企業又は取引する業界や産業連鎖における位置付け並びに今後の動向に対する説明が必要。
  3. 関連者取引状況
    関連者取引と非関連者取引の実行過程における相違点と類似点の説明が必要。
  4. 比較性分析
    比較企業の選択過程、比較性調整に対する定量分析更に今後の動向の分析も加えた説明が必要。また企業の異なる年度においての関連者取引の状況、機能とリスク面で大きな変化が生じた場合その変化を比較して説明することが必要。
  5. 移転価格算定方法
    選択した移転価格算定方法と企業の機能とリスクとの整合性について説明することが必要

◆総括

  1. 国家税務総局による「管理・サービス・調査」の三位一体の租税回避防止体制は「管理」段階の業務がより重要です。その「管理」では①関連申告書の審査、②同時文書の管理、③追跡管理の三つを構成し、取り分けて「同時文書管理」が最も重要です。
  2. 同時文書は企業にとって「単なる法令遵守のための書類」レベルの認識はもっとも危険です。
  3. 移転価格調査リスクの低減を図り税務機関の訊問に対し自社の移転価格の合理性を証明するための土台とならねばなりません。
  4. 法定義務のある企業は適切に同時文書を準備し、既に複数年度を準備している企業はそれら文書の間で関連者取引、機能とスク分析、数値に必要な整合性までを検証すべきです。
  5. 各年度の同時文書には前年度文書を機械的にコピーするのではなく、各年度における企業の経営状況を個別且つ具体的反映が必要です。更に必要に応じての比較性分析や移転価格方法などに修正が必要です。

◆御社はどのように対応しますか??

同時文書は義務化に無いとする解釈も危険です。

税務調査で追加否認を受けたとなれば、御社は、「同時文書」作成義務化に引き上げられてしまいます。しかもそのことは、追跡管理下のもとで厳しい審査をも受け継いでいくことになるのです。

小川 孝一

アジア移転価格専門コンサルティング 代表 (上海在住)

専門分野
会計・税務管理、移転価格税、中国税務&国際税務、内部統制構築

日本および中国にて、一貫して税務・会計畑を歩んできている。
特に、国際税務に関わる移転価格税制に精通。
移転価格税に関わる対策文書/同時文書の作成、税務調査を中心として事例研究多数あり、関連セミナー講師多数。

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