2009年12月16日(水)

総経理の役割と責任

佐藤中国経営研究所 代表 佐藤 忠幸


総経理様から、たびたび、「儲かる企業にするにはどうしたらよいか」というご相談をいただきます。
そのお答えはいつも同じです。「貴方が変われ、誰もやってくれませんよ」総経理はじめ高級幹部がどうすべきか、どう行動するかが全てです。


総経理あるいは高級幹部である貴方に問います。


1.貴方はどのような目的で赴任していますか?
2.その目標はいかなるものですか?具体的には何年で投資回収しますか?
3.目標を達成するための責任と権限は明確になされていますか?
4.以上は「赴任命令書」として文書化され、貴方はもちろん、親会社幹部にも周知されていますか?


そんなことは書かなくても分かっている!親会社の社長も上司も知っているはずだ。
本当でしょうか?実は日系企業の多くはここに大きな落とし穴があります。
この、読者である日本人の多くは総経理あるいは副総経理などの高級幹部ですから、総経理を例として取り上げます。


中国の会社法では、「総経理とは、董事会で議決された経営方針にしたがい事業計画を策定し、董事会で承認された事業計画を執行する責任者」と定められています。つまり、総経理は日本でいえば会社の社長であり、大きな責任と権限が定められています。
日本を出る時に、その中味を心底ご理解して赴任された総経理さんがいかほど居られるか疑問です。

なぜなら、日系企業総経理の多くは、管理職経験しかなく、企業経営責任者としての自覚と知識・経験を持ってない方が多いようだからです。もちろん、人選した親会社社長に問題があるのはそのとおりですが、任命され赴任してしまった以上は勉強するしか方法がありません。


最初の問いにもう一度戻って、自問自答してみてください。

まず、目的・目標の曖昧さに気がつくはずです。赴任期限すら好い加減でしょう。おそらく、責任と権限も不明確でしょうね。親会社の社長からは殆どの方が明確に指示されていませんね。
しかし、赴任してから総経理とは社長だ、しかも、自分で決断・決裁すべきことが多いことに気がつきお困りになったことでしょうね。お困りになった方は問題ありません。困れば解決策はついてきます。


ここで、管理職者と経営者の違いを振り返ってみましょう。

管理職は、言うまでもなくある組織の長、すなわち責任者です。しかし、会社には色々な組織があります。間接部門には総務・人事、財務、法務、そして営業部門には販売、営業技術、販売管理、宣伝、技術部門には開発、設計、製造技術、生産部門には、生産管理、購買、倉庫、製造・・・・・とキリがないですが、多数の部課があります。それぞれの連携と競争で会社全体が前進します。管理職はそれぞれの長として、数人から数十人・数百人の部下を率いて組織をまとめ引っ張ります。しかし、あくまで各組織の長です。方針や方向を示してくれる経営者がいます。また、バックアップしてくれる他の組織や部下がいます。相談相手となる同輩や上司も多数います。
それに対して、経営者はこの組織を作る人です。そして、幾つかの組織あるいは全ての組織を方向付けし、まとめ、牽引するのが経営者です。当然、より大きな権限と責任を伴います。経営にかかわる相談や質問は社内ではほとんどできません。質問に答える立場、すなわち他に頼れない立場だからです。


管理者は努力すれば全員が経営者になれるとは限りません。求められる資質が異なるからです。

しかし、意識し努力し勉強すれば大部分の方は経営者になれますし、近づけられることは可能です。肝心なことは、求められるものが異なるという意識と努力です。
各社に、儲からない原因は何でしょうか?の問いかけをしました。


1、 売価に比べて原価が高い
2、 予想通りに売れない


大きな理由はこの2つしかありません。


この原因を他動的要因で済ますか、自動的要因に置き換えて能動的に対処するかの違いが、管理職者と経営者の違いでしょう。
大多数の皆さんは、経営者あるいは経営補助職として中国に赴任しているはずです。
今日から管理者ではないのだと、意識を変えて能動的に対処していただきたいと思います。

冒頭の「赴任命令書」をご自分で書いてみてください。そして、毎年書き直し思い返してください。それだけで、あなたも会社も変わるはずです。

佐藤 忠幸

佐藤中国経営研究所 代表 (上海在住)

専門分野
企業管理・人事労務・労使関係・品質管理・幹部・5S研修・社内規定

電子・機械・成型・縫製など異業種製造業数社で、日本および海外子会社で数多くの会社立ち上げと再建業務に携わる。現在は上海と横浜を基盤として、幅広く、経験に基づいた相談と指導を行っている。各社顧問と各種セミナー講師および雑誌や新聞への執筆多数。

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