2010年01月04日(月)

万博は大丈夫か、中国の「しつけ」

佐藤中国経営研究所 代表 佐藤忠幸


今年の5月1日から上海万博が開催されます。
期間は半年間、観客見込は7000万人と北京オリンピックの比ではありません。このため、2年ほど前からマナー教室は大流行、政府もマナー向上運動をしきりに行っていました。
そして、ボランティア交通指導員を100万人募集中です。すでに昨年中に60万人以上の応募者があり、すでに一つの交差点に数人ずつ配置され、主に人や二輪車を指導しています。

中国には躾がない

「しつけ」は漢字で「躾」と書きますが、この文字は中国語にはありません。日本で発明された数少ない文字です。「躾=身+美」ということで作られた文字です。身の内から出た美しさということですね。
中国では、文字だけでなく本当に躾はありません。大昔はあったかもしれませんが文化大革命以降は消えました。今は学校で必死に修養という科目を教えていますが、肝心な親が教えることができないのですから悲劇的です、
躾というのは、100万人の交通指導員から言われる前に、上司から言われる前に、こうあるべきだと、自らを律することです。
親が「子供が世間にでて恥をかかないように」と、子供の小さいときから厳しく「仕付け」て、「躾」のよい者に育てました。仕付けは、他から強制されますが、躾は自ら律します。中国の5S運動は躾の代わりに修養をよく使いますが、根本は違いますね。マナーというこ言葉も同じく躾ではありません。

怖い交差点

最近は、中国人のマナーの悪さを批判する中国各誌での記事をよく見ます。過去は外国メディアからの批判はあったものの、中国メディアにこれだけ取り上げられたのは初めてだと思います。何も、急にマナーが悪くなったのではなく、中国では昔から同じです。国際化を目指す中央政府の姿勢の変化です。
都会の交差点に立てば、日本人の誰もが恐ろしくなります。歩行者保護あるいは歩行者優先の精神は全くありません。歩行者自身も信号無視は当たり前です。
同じことは、観光地でもやっています。果実の殻を捨てるなんてことは当たり前。希少植物保護のための柵は無視してお花畑に入り込み写真撮影。混雑する道路に違法駐車しての写真撮影。その他、警備員が見ていない所での行状には目に余るものがあります。
これを、外国でやられては黄禍の輸出とますます騒がれます。中国の自然環境もメチャクチャになります。

これを企業の中でやられたらどうなるか?

経営者が見ていないから、管理者が叱らないからということで、会社ルールを無視されたらその会社はどうなりますか、御社の名前で、安心して製品を売ることはできませんね。
中国だから仕方がないと、経営者のご自分があきらめたら、その会社は終わりです。現実にそうなって経営不振となる企業は数限りなく見られます。
放っておけばそうなるものだという前提で、如何に対策するか、如何に教育するかの方向付けと指示をすることが、総経理はじめ高級幹部の使命です。

まず、ルール作り

やってはいけないこと、よいことを明確にすることです。就業規則はじめ諸規定や各標準類の整備が必要です。信賞必罰の制度や仕組みも必要です。これらは、会社が大きくなってからは困難です。
会社が小さなうちに、将来を見据えて整備し、基礎を固めなければなりません。まだ、会社ができたばかりだから、まだ小さな会社だからといって整備しなければ、ばらばらな管理思想と経営姿勢で幹部が育ってしまいますよ。社内で作ることが困難なら、HRAにご相談すれば、経営者とご相談しながら御社に最適な諸制度と標準類ならびに仕組みを作成できるでしょう。
なお、解雇などの懲罰を与えるためには就業規則に明文化が必要ですが、大部分のルールは口頭でもメモでも構いません。

作ったルールは絶対に守る

作ったルールは絶対に守らなければ意味がありません。
作った会社も当然守ります。守れないようなルールは、守れるルールに改めるべきです。一つでも例外を設けて会社がルール外のことをすれば、ルールは無いと同じです。いや、無いよりも始末が悪いでしょう。無ければ作ることにより、次から守らせることは簡単です。しかし、ルールはありながら形骸化した状況を改めることは容易ではありません。
同様に、ルールの適用は厳格に行わなければなりません。悪質な罪を犯した者に対して、彼は初犯だからあるいは重要人物だからといって軽い処分で済ませたら、以降同じケースでも罰せられなくなります。彼のときは軽い処分だったのに、私のときだけ解雇とは不満であると訴えられれば、ほぼ確実に会社の負けです。

――泣いてバショクを切る――

幹部教育で徹底

次に必要なことは、社員(特に幹部)教育です。
なぜそのルールが必要なのか、どうやって守らせるか等々です。少なくとも、管理者がその気にならなければルールや制度は全く有名無実になります。
ご自分でできなければ、ルール作り同様に業者にご相談してください。


最後に、経営者の確固たる信念です。

ルールは絶対に、会社も守り社員にも守らせ、世界に恥ずかしくない立派な企業にするのだ、という強い信念があれば、大部分の社員もその気になるものです。
これだけは、どんな業者にも委託できません。
前号で書いたように、ご自身が変わるしか方法がありません。変えられない経営者は代わるべきです。

佐藤 忠幸

佐藤中国経営研究所 代表 (上海在住)

専門分野
企業管理・人事労務・労使関係・品質管理・幹部・5S研修・社内規定

電子・機械・成型・縫製など異業種製造業数社で、日本および海外子会社で数多くの会社立ち上げと再建業務に携わる。現在は上海と横浜を基盤として、幅広く、経験に基づいた相談と指導を行っている。各社顧問と各種セミナー講師および雑誌や新聞への執筆多数。

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