2010年03月11日(木)

中国人のコミュニケーション

佐藤中国経営研究所 代表
佐藤 忠幸


中国にある日系企業の日本人幹部と話をして、必ず聞くことは「中国人は言い訳が多い」あるいは「中国人は絶対に自分の非を認めない」です。

この状態を許し、なおかつ前号で学んだ日本人のコミュニケーション下手と重なって、中国の日系企業は(大げさに言うと)危機的状態です。

今号は、「中国人のコミュニケーション」について学びます。

1、中国人は、発信だけで責任を終わらせる傾向が強い

職場で幹部の議論を聞いていると、次の会話が極めて多く有ります。


「私は言いました」

「私はメールしました」

「私はFAXしました」

「だから、 XXしないのは○○の責任です」


「中国人だから致し方ない」であきらめてはいませんか?

この会社では、「コミュニケーションとは何か」を教えていないようです。というよりも、多くの経営者は、コミュニケーションとは何か、そして、管理・監督者が果たすべきコミュニケーションの責任というものをご存じないようです。

2、発信はコミュニケーションではない

発信は、コミュニケーションのための一つの手段です。

コミュニケーションとは、一般的に次のように定義付けられています。


→言葉等を通じて、自分の考えを相手に伝え、

→共通の価値を創造し、

→人間関係をつくり、

問題を解決する手段。


つまり「話の聞き手が、行動を起こして初めてコミュニケーションが取れた」ことになります。言い換えると、「話の効果の決定権は聞き手にある」となります。これは、皆さんも日本で散々学習しているはずです。日本の監督者研修での必修科目です。

コミュニケーションの目的という面から見てみますと、

「相手との信頼関係(共感)を構築し、相手に影響を与え、(変化)へ、(誘導する)ことである」といわれています。つまり、相手に行動させることが目的です。言い換えれば「相手が行動しないのはコミュニケーションが取れていなかった」すなわち、「相手が悪いのではなく発信者の責任だ」ということです。

3、何故、相手が行動しないのか?

結論は簡単なことです。


①伝える技術がない

②伝えようという気(心)がない

③伝えようという気(心)が伝わらない

④人格・人望がなく聞き手に無視された


伝えたはず(つもり)でも、相手が行動しなかったら、伝わっていないということであることを知らないのでしょう。知らなければ教えればよいことです。何が原因か自己反省し、伝える努力をすればよいことです。

4、管理・管理者は、言っただけでは責任を果たしたことにはならない

管理・監督者は、多くの職責を負っています。その職責を果たすためにはコミュニケーション技術が欠かせないことはご承知のとおりです。

管理・監督者の人間関係は、上司や部下とだけではなく、自分と社内関係部門との関係、社外関連企業との関係など、自分を取り巻く周囲全てに関係しています。この関係を良好に保ち、影響力を行使するためには、コミュニケーションが欠かせません。

コミュニケーションの意義や目的を考えた場合、メールやFAXだけで、用がこと足りる訳がありません。

それでいて、発信したということだけで責任を果たしたという管理・監督者を許す経営者の姿勢に問題を感じます。

5、何故、中国人は自分の非を認めないのか

自分の非を認めない理由は、一つには、非を認めたら生き残れないという悲しい歴史から来ています。それよりも大きい理由は「それが、自分の責任だとは知らない」ことにあります。前述のごとく知らなければ教えればよいことです。

もう一つの大きな原因は、職場の人間関係が希薄であることからの諦めです。

職場での人間関係希薄の原因を分析すると、根本的な問題としては、「管理・監督者がコミュニケーションをあまり意識しない」ことと、「コミュニケーション不足を気にしない」という姿勢に戻ります。次に、おたがいの誤解を生む不適切な表現、言葉の使い方が分からない、表情・態度を表現する場が少ない、社内メールでの交換で済ましてしまう、などのコミュニケーション技術の問題があります。

いずれも、「中国人は・・・」と諦めることではなく、教えれば改善できることです。

6、今すぐ集合研修で徹底を

コミュニケーションは、単純な指導で改善できるような課題ではありません。これこそ、集合研修で各種のゲームや演習問題で、身体に教え込まないと無理でしょう。


責任逃れの言訳を撲滅させることが、企業発展の基礎です。

言訳を許さない、徹底したコミュニケーション教育を直ぐにでも!

佐藤 忠幸

佐藤中国経営研究所 代表 (上海在住)

専門分野
企業管理・人事労務・労使関係・品質管理・幹部・5S研修・社内規定

電子・機械・成型・縫製など異業種製造業数社で、日本および海外子会社で数多くの会社立ち上げと再建業務に携わる。現在は上海と横浜を基盤として、幅広く、経験に基づいた相談と指導を行っている。各社顧問と各種セミナー講師および雑誌や新聞への執筆多数。

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