2010年05月10日(月)

スーパーの女になれ

佐藤中国経営研究所  佐藤忠幸


先日、DVDで故伊丹監督の映画「スーパーの女」を見ました。

ご覧になられた方も多くあったと思います。

何気なく見ていましたら、何故か、中国の日系企業とダブって、途中から夢中になってしまいました。ご存知ない方もおられると思いますので、簡単にストーリーをご紹介します。


 主役は勿論、宮本信子。相手は津川雅彦。

ストーリー

 津川雅彦は金持ちの次男坊で、不動産屋の兄貴が名目的な社長であるスーパーマーケットを預かる「坊ちゃん専務」。


 その、スーパーは、大手スーパーにやられっぱなしで青息吐息、

不動産屋根性の社長は、スーパーを早く・高く手放すことばかり考えている。


坊ちゃん専務は、仕方無いと諦めの心境。

 経営方針を変えようとしても、店長や各チーフに反対されると、彼らに辞められるのが怖くて、改革も注意も出来ずどうしてよいか分からず悩む。そうこうしている内に、客をどんどんとられる。


 悩んでいる所へ現れたのが、同級生であるコンサルタントの女性(スーパーの女・宮本信子)で、彼女が経営改革と再建に乗り出す。


 先代から勤める能無しドケチ店長は、お客からのクレームを取り上げず、揉消しとつぶしに走る。それが管理者の力だと。

 おまけに、売れ残り食品はパッキングをやり直して日付をごまかす。

 「それが店の方針だ!」「それで長いことやってきてうまくいっていた!」と改革案に目もくれない。改革を嫌がる理由の一つは自分の業者からの賄賂がばれるから。


 その子分の食肉チーフは、安い輸入肉を高い国産肉にごまかすことが技術と思っている。おまけに、その高い国産肉を横流しする。

 店長もやっていることだと言い訳する。


 鮮魚チーフは、古い職人気質でセンスとコストが合わず、売り残りばかり作る。

 そして、買わない消費者が低レベルだと怒る。


 しかも、彼らチーフは若手職人が頼んでも「技術は自分で見て盗め」と言って指導しない。能率改善を提案しても若造が何を言うかと叱られるだけ。


 その他、全くしつけが出来ていないレジ担当や、パートのオバさん等々との、幾多の闘いや洗脳の苦労など。

スーパーの女・宮本信子は苦難に遭いながらも、智恵と情熱・強い信念で、坊ちゃん専務をまともな経営者に洗脳し、駄目幹部を一層し若手職人を抜擢し、パートのオバさんを味方に付け、新鮮(品質)第一、お客様サービスに徹することを「合言葉」に、改革・再建に成功するという痛快な物語。

それと、中国の日系企業とどう繋がるのか。

<上記キャストを日系企業スタッフに置き換える>

不動産屋根性の社長 :本社の社長或いは合弁相手

=1年に一回工場を見ればよい方、そのくせ赤字だと直ぐ、総経理交替か工場撤退を考える。

坊ちゃん専務 :任期だけを考えている総経理

 =事なかれ主義、後に改革に目覚めるが経営手法無知。

スーパーの女宮本信子:現地契約の雇われ顧問

 =唯一まともな経営を考える経営者、又は貴方ご自身。

能無しのドケチ店長 :中国方パートナー(国営企業)派遣の副総経理兼営業部長

 =中国のことは中国人しか知らないと、総経理をなめきっている。品質クレームがあっても、揉消しが営業の力だと信じている。商売に賄賂はつき物だと当然視する。

ごまかし食肉チーフ :切れ者風製造部長しかし総経理よりも副総経理に付く

 =実は品質無視、安かろう悪かろうの典型、上司の悪いところだけは、まねする。

職人気質鮮魚チーフ :日本から嫌々派遣された技術部長

 =中国と中国人特性を無視、旧い日本式にこだわりすぎ。

若 手 職 人   :改革派を自称する中国人中間管理職

 =しかし、幹部が怖くて意見は言わない。

パートのオバさん  :権力者や情熱・信念の強い方に付く殆どの社員

 =何も知らないような顔をしていても、経営状態と幹部をじっと観察。

ストーリーの繋がり

 上のキャスト置き換えを見れば、中国経験のある方なら既にお分かりだろう。


 前記のストーリーの人物を、日系企業のスタッフに置き換え、スーパーを日系企業に置き換えれば、日系企業の多くの会社とピタリ同じ。


 中国で頑張っておられる諸兄は、大なり小なり、「スーパーの女・宮本信子」と同じご苦労をなさっているのである。


 そう書くと、日本で頑張っておられる経営者諸兄は、わが社も同じだ!

 改革派の自分は、守旧派の抵抗に遭って毎日が大変だ!とお怒りかも。


 ただし、現実と違うことは、宮本信子ほどの「スーパーの女」がいないことである。あるいは、居ても気がついてない、任せていないことである。


「スーパーの女」は待っていても出てきません。

あなた自身が、改革派となり先頭を走らなければ誰もやってくれません。あなた自身が、「スーパーの女」に変身しなければ、会社は変わりません。


 あの「スーパー」はスーパーマーケットというより"スーパーマン"の女かも知れませんね。

 しかし、どの会社もスーパーマンを、いや間違い、「スーパーの女・宮本信子」を、今ほど欲している時は、かつてないことでしょう。

佐藤 忠幸

佐藤中国経営研究所 代表 (上海在住)

専門分野
企業管理・人事労務・労使関係・品質管理・幹部・5S研修・社内規定

電子・機械・成型・縫製など異業種製造業数社で、日本および海外子会社で数多くの会社立ち上げと再建業務に携わる。現在は上海と横浜を基盤として、幅広く、経験に基づいた相談と指導を行っている。各社顧問と各種セミナー講師および雑誌や新聞への執筆多数。

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