2010年06月15日(火)

しっかり話せ、日本語 1

佐藤中国経営研究所 佐藤忠幸


最近、日系企業の幹部さんから色々な相談や依頼が多くなってきました。

そんな中から気がついたことを報告します。

最大の問題は、日本人のコミュニケーション力です。「そうなのです中国語は難しくて・・・・」違います。中国語以前の問題があります。

最近のご相談事と悩み

  1. うちのボスはいくら言っても分かってくれない
  2. うちの管理者は口だけで行動が伴わない
  3. 中国人は、返事はよいが結果が違う
  4. 人事制度を確立したいが、予算をくれない
  5. 社員研修をしたいが、予算をくれない
  6. 過去10年間も問題なかったのに・・・
  7. 操業して6年間だが、総経理は3人も変わった

・・・・・・いくらでもあるが、キリがないのでここまでとして解説します。


<1~3は、コミュニケーションの問題と幹部の責任感の問題>


コミュニケーションとは、相手に心理的変化をよび、相手の行動を変えさせる、または行動させるためのものであり、相手が行動して初めてコミュニケーションが取れたことになる、というのはご承知のとおりです。

自分の伝え方が下手なくせに「いくら言ってもやってくれない」とぼやいてはいけませんね。


しかし、一般的に日本人の要領の得ない話し方には困ったものです。

絶対に通訳不能な話し方や用語が飛び交っています。

丁寧に話すというと、長々と話す方がいますが話す量は無関係です。

要点を押えた、通訳しやすい言葉を選んで伝える努力をし、相手の心に訴えたかどうかだけです。

言い換えれば、「話の効果の決定権は聞き手にある」を意識しているかどうかです。

これがコミュニケーションの大原則であることを知らない、または無視して相手の責任にしている方がいますが、論外ですね。

これが、平社員ならいざ知らず、総経理や部課長という幹部が言うことではありません。

人を使い、人を動かして成果を出させるというのが幹部の役割であり責任です。伝える技術も執念も無く、嘆くだけであれば存在価値はありませんし、無責任といわざるを得ません。

赴任前に、中国語教室よりも「日本語話し方教室」に通って欲しいものです。

中国人は、返事はよいが結果が違う

これもコミュニケーションの問題?

実はそうなのです。

前記のごとく、日本人の話は要領を得ないため、中国人は最後まで聞かずあるいは、意味が通じないまま、「分った」、「問題ない」、「OK」と答えることが多いのです。

早合点の中国人が多いのも事実ですが、多くの問題は日本人の話し方にあります。

したがって、中国人が何を、何処まで、どのように理解したうえで「明白」、「無問題」、「無関係」、「OK」と答えたのか確認をすべきで、これも話し手の責任です。

「起承転結」は通じない

日本語文章は、昔から「起承転結」で作れと教えられました。

最初に、出だしがあり、それを受けて説明し、ちょっと別な角度から述べる。そして最後に結論を出す。これは中国の漢詩の構造から来ています。何、漢詩!?中国も同じじゃないの。と言うかもしれませんが、あくまでも詩、文学でのことです。

起⇒承⇒転⇒結となると、一直線です。

順番に最後まで聞かないと何を言いたいのか分からないということです。日本でも文学の世界でしか通用しません。ビジネスでは通用しません。

よい例が、新聞記事です。見出しで内容を表し、リードで、要約した内容が書かれ、次が本文です。だから忙しい人は大半の記事は見出しだけ、せいぜい読んでもリードまでで済ませられます。毎日たくさんの記事が掲載されている新聞を隅々まで全部読むのは不可能ですね。

中国でも、その書き方、話し方をしなければなりません。

すなわち、結⇒起⇒承⇒転⇒結です。「結」が最初と終わりにありますから、直線ではなく円となります。時間が無いときは最後の「結」は言わなくてもよいのです。


HRA|中国日系企業の疑問を専門家がアドバイス|Human Resource Association-起→承→転→結
日本語には、中国語に直訳できない言葉がたくさんあります
。意訳する場合、何を言いたいのかという結論が分からないと訳せません。

したがって、「起承転結」で話すと、同時通訳は不可能です。

「結」が分からない間は、「承」と「転」の多くは訳せないからです。


「うちの通訳は、途中で適当に切っても訳しているよ」と言われる方もいますが、その通訳は、あなたが怖いか遠慮して「何を言いたいのですか?」と聞かないだけです。そして、想像で通訳しています。

では、途中であるいは、話し手が「結」まで言った結果、通訳が間違っていたと気がついた場合どうするか?あなたの通訳は、修正していますか?大部分の通訳は修正しません。あなたが怖いからです。


「起承転結」で話した場合、優秀な、責任感の強い通訳ほど、「何を言いたいのですか?」「結論は何ですか」「最後まで言ってください」と言います。

言わない場合は・・・・何を通訳しているのか心配ですね。


中国と中国人を舐めていると、とんでもないことになりますよ。

続く

佐藤 忠幸

佐藤中国経営研究所 代表 (上海在住)

専門分野
企業管理・人事労務・労使関係・品質管理・幹部・5S研修・社内規定

電子・機械・成型・縫製など異業種製造業数社で、日本および海外子会社で数多くの会社立ち上げと再建業務に携わる。現在は上海と横浜を基盤として、幅広く、経験に基づいた相談と指導を行っている。各社顧問と各種セミナー講師および雑誌や新聞への執筆多数。

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