2010年12月24日(金)

中国の会社設立は特殊なことではない

佐藤中国経営研究所 代表 佐藤忠幸


理由や事情はともかく、相変わらず中国への進出企業は多数あります。

「中国に進出し会社を設立したいが、資本金はいくら必要でしょうか?」

「中国で会社を作る場合の重要なポイントは何でしょうか?」

というようなご相談が相次いでいますので、まとめてお答えします。結論からいえば、日本と基本は同じです。(手続きは別として)

まずは、事業計画をご自分で

中国に会社設立する場合、政府の認可申請書類にF/Sというものが必要であり、この作成を外部に委託しているケースをよく見ます。

F/Sは、フィジビリティ・スタディ.(feasibility study;)のことであり、新規事業の、事業化可能性調査のことで、実行可能性、採算性などを調査するものです。申請のための形式を整えることは外部委託しても構いませんが、根本となる事業計画は必ずご自分で作成しなければなりません。

何を、何処へ幾らでどれだけ売り、それに対して初期投資として何に幾ら使う、労務費は幾らかかる、諸経費は幾らかかる、だから創業して5年間で幾らの損益が出る、そのための運転資金は幾ら必要だ。そのために、何をいつまでに対策・解決すべきか・・・などは、日本と同じで他人では作れませんね。

資本金は事業計画で決まる

設立資本金は、政府が幾らなら許可を出すのか?政府が○万元なら許可をくれるよ、という話は色々な人が言いますが、まずはご自分で幾ら必要かもくろむべきです。

事業計画で、初期投資と運転資金が出たなら簡単です。その合計金額が必要な資本金です。政府が許可を出しても経営不可能な金額では、直ぐに行き詰ります。日本では1円で会社設立できることになっていますが、実際に操業するには必要資本金を投じることを求められており、実質的には同じです。

投資したお金を誰に回収させるか

資本金すなわち投資額が決まったら、次の課題は、そのお金を誰に託して経営するのか、つまり、総経理(社長)を誰にするのかということです。実は、これが最難関です。

日系企業の特徴として、株主よりも社員を大事にします。そのため、中国に行きたくない、行けないという者は赴任対象者から外しています。しかも、必ず期限付き原職復帰条件付き出向です。これでは、世界中の一流企業がひしめいている中国の厳しい競争に勝ち残れるわけがありません。

行ける者のなかから選ぶのでは限界があり、条件付出向では腰掛け仕事です。

鋭い中国人はそれを見抜いて、腰掛け総経理の言うことには面従腹背ですし、優秀な者は入りません。

腰掛け総経理の会社なら、幹部や幹部候補は、入っても直ぐに辞めます。「いや、我が社には辞めない幹部がいるよ」といわれる方もいますが、その幹部は本当に優秀ですか?もし優秀な幹部であれば何か企んでいますよ。

行けるものではなく経営適任者を選べ

現地法人の経営者は、自社の管理者の中から選ぶ会社が多くありますが、まず経営陣の中から選ぶべきです。適任者がいなければ外部から採用します。

なお、今後の総経理派遣は、出向ではなく転籍とすべきです。日本へ帰っても、再入社は保証しても職場の保証は無い、成果次第だとしてもよいでしょう。そんなことを日本の役員や幹部に命じたら辞めてしまうよ、という社長もいますが、辞められたらちょうどよいのでは?安上がりなリストラとなりますし、今ならお代わりはいくらでもいますよ。(厳しすぎますね)

いつでも、何処の国でも仕事ができるというグローバル人材不在の会社は生き残れません。

合弁相手はあてにするな

派遣する人材の問題で、中国企業との合弁会社を設立するケースも多々あります。

中国に会社を作る目的は儲けるためですね。合弁相手も儲けるために合弁契約を結びます。仮に50%ずつ出資の合弁なら利益は半分ずつです。赤字も半分ずつです、と言いたいところですが、合弁契約の多くは赤字の負担は日本側だけのようです。

それはともかく、合弁相手に経営を任せた場合、名目的な利益は出資比率で配分しますが、実質的な利益は様々な名目でごっそりと持っていかれることを覚悟すべきです。

また、日系企業としての特徴はなくなり、顧客を失うこともあります。


色々書きましたが、会社設立は中国だから特殊だということはありませんね。

董事(役員)の一票は重い

 中国企業の特徴は董事の一票が重いことです。合弁会社の場合には、わずかな出資であっても、董事を出させる場合があります。合弁とまではしないが、中国人を総経理や董事に迎えるケースもあります。現地法人で数年ともに働き、裏も表も分かった者なら、人材の現地化として歓迎すべきですが、知り合ったばかりあるいは取引のみの関係であった場合には危険です。

 

 どの会社の定款でも「高級管理者の任免その他重要事項の決定は董事全員の賛同が必要」となっています。いざという時には、解雇もできないということを覚悟して人選してください。

佐藤 忠幸

佐藤中国経営研究所 代表 (上海在住)

専門分野
企業管理・人事労務・労使関係・品質管理・幹部・5S研修・社内規定

電子・機械・成型・縫製など異業種製造業数社で、日本および海外子会社で数多くの会社立ち上げと再建業務に携わる。現在は上海と横浜を基盤として、幅広く、経験に基づいた相談と指導を行っている。各社顧問と各種セミナー講師および雑誌や新聞への執筆多数。

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