2010年10月06日(水)

グローバルITビジネス拡大戦略

日立信息(上海)有限公司 企画本部副部長 沙 文灝(Sha Wenhao.)

グローバルに業務拡大をユーザ企業とIT業界の「スピート差」

グローバル化で成長企業のビジネス手法には、スピート感が最も重要です。

日本企業は海外進出を加速しており、既に実績のある製造業のみならず、サービスや流通など早い動きを示しています。

グローバルのIT業界は欧米製品がスタンダードです。次世代のITを担うクラウドとスマートシティもアメリカ企業から提唱され、日本でもアマゾン、グーグル、セールスフォース・ドットコム、IBMなど外資企業がビジネス基盤を築きつつあります。

日本のIT業界は、世界に目立った存在感を示せず15年以前から海外展開で間違いと修正を繰り返してきました。しかし、成功と言える事例はありません。

これまで行われてきた「海外進出」は、ユーザ企業に"付き合う"の形で出るか、大手ベンダーであれば多少の成果があったM&Aという事例程度です。

現実として、大手IT企業の海外進出も、日本のビジネス延長線になっています。海外での実績も多い大手IT会社でさえグローバル企業だとはいえません。

最近の、大手IT企業が進めている大胆な改革の背景には、ユーザ企業のスピードとIT業界との「スピート差」を無くすため、各社の経営者の危機感があったことも否めません。

中国日系IT企業が抱える共通課題

遅ればせながら現在、現地企業を顧客として独自のソリューションを提供し、自律的な事業のチャレンジを始め、ユーザ企業や欧米IT企業を追いかけて、日本のIT業界も海外へ向かおうとしています。

日本国内市場の停滞と新興国市場への期待は企業規模を問わない共通の認識となっており、海外市場開拓を重要な経営テーマに掲げている企業が多いこと、また、そのほとんどが中国での成功を目指しています。

いままで、オフショア拠点である中国が、今や製品やサービスを販売するための巨大な「市場」として注目を集めています。

現在、最初の段階にある日系IT企業が多く、ほとんどの企業が共通の課題を抱えています。

下記にポイントを例示してみます。

1 製品

「製品・ソリューションを中国に持っていく」と足並みを揃える。

ソリューションはサービスよりプロダクト、システムインテグレーションより手離れが良くリスクが少ないパッケージソフトウェアを選択する企業が多い。

日本ではあるいは成熟した製品を中国へ持っていくという発想である。

ビジネス環境の異なる中国市場で、どこにどれほどの市場可能性があるかは調査も欠かせない。

2 販路

ビジネス環境が異なる中国で販路を獲得するため、また商習慣や規制など日本企業には分からない部分をカバーするためにも、現地のパートナーは必須となる。

その実態はほぼ「人脈」次第となっており、容易なことではなさそうだ。

それ以外には他社との協業やコンサルタントなど第三者の協力を得る方法もある。

3 価格

日本より価格レベルが低い一方で、製品のローカライズなどの初期投資やスタッフ駐在費用がかかるため高コスト体質となる。

「独自性が高く他にない製品を投入する」または「現地で通用する価格競争力を持つ」、いずれかの戦略を取ることになる。

製品やサービスの機能や品質のみならず、中国に適応するマーケティングやマネジメントの強みを発揮も必要。

4 知財

中国ではソフトウェアの違法コピーが常態化している。この不安要素は大きい。

法務を強化すると同時に、日本IT企業としては製品力など真似できない部分を磨くことも必須である。

5 戦略

中国市場指向で戦略を計画する企業が出始めている。

「現地指導」と「現地化」を挙げる日本IT企業も少なくないが、現状は、日本IT企業の抜本的改革を日本側に求めて、再びその場しのぎ策で乗り切ろうとしている企業も少なくないし、今までの利害関係調整が難航して岐路に立つことになる。そこに至るまでの道のりは、とても長いと言わざるをえない。求められるのは、グローバルを視野に入れた抜本的な改革である。

戦略は中国経済成長の本質を、冷徹なビジネス感覚で1)中長期性, 2)目指すべき企業像, 3)従業員;部門;企業のミッションの設定, 4)成果の明確性, 5)明確な課題の優先順位など要件を備えることも必要である。

6 基盤

中国システムインテグレーション(SI)資格は、中国市場SI案件入札の必要条件であり、多くの現地SI案件で入札前提となるケースが多く、今後の中国ビジネス拡大に大きく寄与する。(2010年4月時点3,606社が資格保有SI監査:255社、認定PM:32,706名、認定シニアPM:7,996名)。中国国家情報化戦略とSI資格の指針で、事業基盤(企画、法務、財務、人材、統括、品質など)の構築も欠かせない。

7 クラウド

いま、クラウドコンピューティングは主流になり、最適な価格で常に最高と最新のものをサービス水準合意(SLA)中心に業務とITビジネスを融合される。グローバルでクラウドの展開を機に、「スピート差」、「製品」、「販路」などの問題も改善され、高品質ときめ細かいサービスを提供する日系IT企業として最重要な競争力になる。素早く、ルーチン化された業務をできる限りにクラウドへの移行は企業の最大な利益を入手できる方法である。クラウドはこれから中国ITビジネスの最重要ポイントである。まず、展開し易いアプリケーション運用保守(AMO)などから開始するも良い選択肢である。

「AMO」の解説文: http://blog.sina.com.cn/s/blog_59409a330100f982.html


現在、中国ITビジネスを推進している企業に、首肯するところが多いのではありません。

私は、海外の様々な国に行った折に、どこの国でも日本製品・日本企業が高く評価されている事を常に誇りに感じております。

グローバル市場で開拓者精神(和;誠)に溢れる企業が頭角を現すと共に、中国市場で日本IT企業が磐石な基盤を築き、初といえるグローバルIT企業の誕生と活躍することを確信しております。


-以上-

沙 文灝

日立信息系統(上海)有限公司 企画本部 副部長 (上海在住)

専門分野
企業戦略・生産管理・改善活動・ITコンサル・マーケティング・地理情報(GIS)

トヨタグループ企業の開発課長、生産統括課長、最大手GISコンサル会社パスコのソリューション課長と製品開発課長、中国上海漢得情報技術有限公司の副総裁(Business Develop VP)、ダィレクター(Director)、プリンシプルコンサルタント(Principle Consultant)に勤め、日立中国での代表コンサルタントとして中国各種情報化フォーラムで講演する。
中国各業種で、中国大手企業および日本海外子会社で数多くの経営およびERPコンサル業務に携わる。現在は日本と中国の企業文化対する理解をベース、幅広く、経験に基づいた相談と指導を行い。各社顧問と各種セミナー講師および雑誌や新聞への執筆多数。

この顧問・専門家のブログを見る

メール ブログ ホームページ

沙 文灝
このHRAホームページの先頭へ