2010年02月02日(火)

微妙に違うからこそおもしろい中日文化2

ビジネスマナー・ビジネス日本語 講師 島田 由利子


現在の日本、特にビジネスシーンにおいて、"カタカナ用語"抜きに会話をすることは容易ではありません。"カタカナ用語"は基本的には日本語ではなく、多くの場合は特定の業界で使われる言葉、もしくは曖昧な言い回しです。

それゆえ日本人が通訳を介して中国人に話すときには、"カタカナ用語"は絶対避けるべきであると言われています。さもなければ、誤解を生じたり、通訳不能で適当に訳されたりしてしまう恐れがあるからです。その場合は日本語に変換するか、もしくは英語で話したほうがいいでしょう。

コミュニケーションの原則は「相手が行動しないのは、自分がコミュニケーションをとっていなかったか、下手だったということ」だからです。

ただ、私がそのカタカナの本来の英語を言うと、「あ~っ、その言葉なんですか!」という中国の方が非常に多いのも現実です。それゆえオフィスで当たり前のように使われている多くの"カタカナ用語"を理解し習得することで、個人のビジネス日本語の力はぐんとステップアップする可能性はあるといえるでしょう。また、《日経新聞を読むためのカタカナ用語辞典》や《できるサラリーマンになるための差がつくカタカナ用語集》といった書籍も販売されています。"カタカナ用語"も今や、ビジネスパーソンを意識したものになってきているようです。

日本の外来語

「来週月曜のアポは顧客の都合でキャンセル」などは"カタカナ用語"というよりは、すでに日本語と化している感がありますが、最近では「リスケ後通知します」というように、日程の再調整もリスケ(リスケジュール)と言う"カタカナ用語"が広く使われています。同様に、「先日のブレストで・・」、「彼のプレゼンは・・」、「異色のコラボ」というように、ブレスト(ブレインストーミング)、プレゼン(プレゼンテーション)、コラボ(コラボレーション)といった、"カタカナ用語"を略して使われているものもよく見受けられます。

また、「クライアントのニーズに応え、エコをコンセプトにしたデザインにし、何度もシミュレーションしました」などのような一文は、ビジネスシーンではよく耳にする言葉が並んでおり、特に何とも思いませんが、文章にしてみると、日本語?と思ってしまうほど外来語がメインになっています。ちなみに、この文章、45文字のうち、28文字が"カタカナ用語"です。

中国の外来語

日本語ではカタカナという文字があるため、外来語はほぼすべて、カタカナをあててそのまま使われますが、中国では、外来語は、大きく分けると、発音を使った言葉と、意味を使った言葉があります。


発音を使った言葉は、主に地名や人名で、これらは日本語でのカタカナ表記が漢字になっているだけ、という感じです。たとえば、羅納爾多(ロナウド)。ただ、ロナウジーニョになるとロナウドより若いので、小羅納爾多と呼ばれています。ポルトガルのロナウドはもっと若いので、小小羅納爾多。この場合、発音と意味と両方とらえているといえるでしょう。また、愛馬仕(エルメス)や香奈爾(シャネル)は、発音を利用していますが、エルメスはもともと馬具から始まったブランドで、シャネルはやはり香水が有名。ともにうまくつけてあると感心しています。発音を利用する場合、縁起のいい漢字を使うことは必須条件ですが、日本企業で感心したのが、優衣庫(ユニクロ)。優秀な衣服がたくさんつまっている感じがこちらに伝わってくるようです。同社は業績も非常にいいようですが、社名も関係しているのでは、と思うのは私だけでしょうか。


意味を利用した言葉には、たとえば、電脳(コンピューター),随身聴(ウォークマン)、砕紙機(シュレッダー)をはじめ、たくさんありますが、熱線(ホットライン)、微軟(マイクロソフト)のように、英語をそのまま翻訳した言葉も入るかもしれません。グループ名では、南天群星(サザンオールスターズ)、美夢成真(ドリームズカムトゥルー)などは、非常にわかりやすい中国語になっていますが、日本の友人が爆笑したのが、放浪兄弟(EXILE)。たしかにEXILEは放浪するという意味ですが、今をときめくグループにしてはいささか滑稽な響きがあり、なんとも面白い名前だと感じ入った次第です。

ポイントになる"カタカナ用語"

私は中国に暮らし始めて5年目ですが、日本での仕事を含めると、華人の方々とのお付き合いは20年になります。そして、お付き合いする上でいつも念頭においている"カタカナ用語"がふたつあります。"フレキシブル"と"ケースバイケース"です。予定を組んだりしていても、急な変更やキャンセルが日常的に行われる華人社会において、"フレキシブル"のもつメリットの方に目を向けることで今まで見えなかったものが見えてくる時もあります。同様に、"ケースバイケース"で対応することにより、物事をポジティブに見る力も備わってくるかもしれません。

源流は同じでも長い年月を経てうまれてきた微妙な文化の差がある中日両国ですが、フレキシブルに考え、ケースバイケースで対応することで、その差をプラスの方向に感じることができるようになるとひそかに信じています。微妙に違うからこそ面白い中日文化、興味が尽きません。

島田 由利子

ビジネスマナー・ビジネス日本語 講師 (上海在住)

専門分野
ビジネスマナー・日本語講師

日米および香港・上海での長く幅広い社会経験から裏打ちされた、ビジネスマナーおよび語学指導に好評を得る。
各種研修と講演および各誌コラム執筆多数。

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