2010年02月20日(土)

微妙に違うからこそおもしろい中日文化3

ビジネスマナー・ビジネス日本語 講師 島田 由利子


-縁起-

 

情人節(バレンタインデー)と重なった今年の春節も、邪気をはらうと言われる爆竹や花火の大音響とともに明けました。ドアに、福という字をさかさまに書いて貼っている家庭を多く見かけますが、これは、縁起のいい到福の"到"と、さかさまの意味の"倒"が同じ発音のため、福をさかさまにすることで福に到るとかけているわけです。縁起がいい、と言われるものや事柄にこだわるのは、中国も日本も同じですが、面白いもので、その内容に関して中日で微妙に違いがあります。

本命年

中国では、年男・年女を本命年といって、その年は災いが多いので、1年中赤いものを身につけて厄をはらうと言われています。現に友人の1人は、「今年は本命年なのよ~」と言って悲しそうな顔をしていました。日本では、年男・年女に関しては吉と凶、両方の考え方があるようですが、最近では縁起がいい、ととらえる人が増えているように思います。当たり年、と言われるのも、吉の意味が含まれているのではないでしょうか。

数字

まず、奇数と偶数、どちらが縁起がいいか、好まれるか、という点では、日本では何かのお祝いなど奇数の額を、と考える方が多く、お湯のみセットもほとんどが5つ入り。一方中国では偶数が好まれます。偶数のことを双数と言いますが、なんでも対になっているほうが好まれます。また日本では三大庭園とか、日本三景など、三という数字で代表的なものを選ぶことが多いのですが、中国では、四大小説、四大美女など、わりきれる四の方をよく耳にします。

"六"という数字は、日本では特に縁起がいいとか悪いとか言われない、いわば中間のような数字ですが、中国で非常に縁起がいい数字です。これは、"六"が順調を意味する"流"という漢字と同じ発音だからという説もあり、すべて順調を意味する"六六大順"からという説もありますが、とにかく皆さん大好きな数字です。

また、日本では苦しむに通じるとして敬遠される"九"という数字ですが、中国でもたしかに、年齢に関係するとよくない数字と言われることもあります。が、一方で古代より皇帝に関係する崇高な数字とされていたり、"九"の発音が"久"と同じで、長生きをあらわすため、好む方も多く、特に九がいくつも重なると非常に喜ばれるようです。中国では、2009年9月9日に、婚姻届を出すカップルが非常に多く、ネットでも話題になっておりました。2000の発音が"愛Ni"と似ているため、ずっとずっと長くあなたを愛します、という語呂合わせで、この日に結婚するカップルが多かったわけです。

"八"という数字が縁起がいいとして好まれるのは、中国も日本も同じです。北京オリンピックが2008年8月8日8時8分に開幕したのは、まだ記憶に新しいところです。日本では、末広がりと言われて縁起がいいとされていますが、中国では、"八"の発音が発財(財を成す)という言葉の"発"に近い音だからと言われています。広東語の発音により近いため、広東省や香港のほうが、"八"への愛着がより強いようです。私ごとで恐縮ですが、以前日本で車のナンバープレートを登録した折、広東省の方にすすめられて、168(一路発)という、ずっと発展するという意味の数字を申請し、他に同じ数字を希望した方がいなかったのですんなり取得できたことがあります。中国ではおそらくスムーズに取得できなかったでしょう。

生き物

蝙蝠(こうもり)は、日本では少し気味が悪い動物という印象がつよく、今まで蝙蝠が好きだ、という方にお目にかかったことはありません。が、中国では、蝙蝠の発音が変福(bianfu)の音と近いため、吉兆とされています。また、中国では、"年年有余"の余の発音が魚の発音と同じであるため、毎年余裕がありますように、ということで、必ずといっていいほど春節の食卓に魚が登場します。日本は、鯛は確かに喜ばれますが、魚全般ということではありません。ほかにも、デパートや大きなレストランの入り口の両側に、象の像が置いてあるところを見かけますが、"吉祥"の"祥"と象の発音が似ているため、と言われています。

縁起がよくないもの

日本ではプレゼントとして何の問題もない置時計ですが、中国の方には絶対におくってはいけないとされています。なぜならば、置時計は"鐘(zhong)"で、"終"と同じ発音、つまり送鐘は送終になるからです。また、梨(li)は離と同じ発音、傘(san)は散と同じ発音のため、それぞれおくりものには適さないとされています。上海のご年配の方の中には、りんごの中国語の発音が病故と似ているため、りんごをおくられることを嫌がる方もいらっしゃいます。

最後に、"緑色の帽子"は男性には絶対プレゼントしないように、お気をつけください。中国語の"緑帽子"は、妻を寝取られた男性、という意味があるからです。緑色の帽子をプレゼントする機会はあまりないように思いますが、野球のキャップで、時折緑色のものを見かけます。草野球チームに参加していらっしゃる皆様、どうぞくれぐれもお気をつけください。


微妙に違うからこそおもしろい中日文化、興味が尽きません。

島田 由利子

ビジネスマナー・ビジネス日本語 講師 (上海在住)

専門分野
ビジネスマナー・日本語講師

日米および香港・上海での長く幅広い社会経験から裏打ちされた、ビジネスマナーおよび語学指導に好評を得る。
各種研修と講演および各誌コラム執筆多数。

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