2010年04月16日(金)

微妙に違うからこそおもしろい中日文化5 -少数民族とは?-

ビジネスマナー・ビジネス日本語 講師 島田 由利子


中国=56、日本=1。この数字を見てすぐに民族の数だと分かる方はどれぐらいいらっしゃるでしょうか。日本の1は国内外でそう認識されている、というもので正式な決定ではありませんが、中国の56は正式に定められているものです。56のうち、漢民族が91%を占めるため、これを除いた55の民族が少数民族にあたります。壮族、回族、ウイグル族などなど、55の少数民族すべてあわせても人口のうちたった9%です。しかしながら、中国の総人口、約13.5億人から考えると、9%でもなんと1億2千万人近くになります。つまり、少数民族と言っても、合計すると日本の総人口に近い人々がここ中国に暮らしているわけです。漢民族と同じような生活スタイルの人々もいれば、民族独自の風習にのっとり、昔ながらの生活をおくっている民族もいます。主に中国の西部や南部に居住されていますが、上海にも「上海市少数民族権益保障条例」があり、企業や学校に勤めている方もいます。有名な女優や歌手の中にも、少数民族の方は何人もいます。日本人の中に、何でも日本を規準に考え、中国や中国人を、こうだから、とステレオタイプに決めつける方をたまに見かけます。が、一括りに判断できるようなものではないのでは、と思っております。広大な国土、膨大な人口、そして多様な民族とそれぞれの文化。すべてに桁違いの中国だからです。

多彩な少数民族

中国では、民族識別工作によって、誰がどの民族に属するかを行政的に確定させているため、何かの申込書など、必ず民族を書く欄があります。以前、CCTV(中国中央電視台)主催のモデルコンテストを見ていたところ、出場者の中にウイグル族が何名かいて、とても印象的でした。

中央アジアの血が入っている人が多いため、東洋人離れした顔立ちの方が多いのですが、2000年の人口調査では約840万人と、少数民族の中で6番目に多い民族のため、メディアでみかけることも勢い多くなるようです。また、蔵族(チベット族)の中には、楊さんや李さんのような漢民族と同じ姓をもっている方もいますが、多くは姓をもたず名前のみです。そしてその名前は独特です。たとえば、歌手では容中爾甲、扎西群培、央金蘭澤のように、字数も多く明らかに漢民族の名前とは異なっていて、宗教色の強い名前が多いようです。


また、中国以外の国や民族の流れをくむ少数民族もあります。俄羅斯族(ロシア族)、朝鮮族は、先祖がその国から中国に移民してきて形成された民族で、家庭ではそれぞれロシア語、朝鮮語を話し、民族衣装や風習なども踏襲しています。ロシア族の方は、外見は白系ロシア人とほとんど変りなく、でも国籍は中国です。ほかにもカザフ族、ウズベク族、タジク族、タタール族などは旧ソ連のカザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタンやトルコの流れをくむ少数民族で、カザフ族はいわゆる白色人種に属しています。朝鮮族は朝鮮半島に近い山東省や遼寧省、吉林省などに多く住み、伝統的な行事のときにはチマチョゴリを着るそうです。私も上海で働く朝鮮族の方を何名か存じておりますが、半分以上の方は金さんという姓をお持ちです。彼らも国籍はもちろん中国です。ほかにも京族は別名ベトナム族と呼ばれていて、ベトナムの流れをくんでいます。


少数民族の中で最大の民族は、壮族。広東省のお隣、風光明媚な桂林で有名な広西壮族自治区は、その名前を冠した自治区で、多くの壮族がすんでいます。日本語ではチワン族とよばれている壮族は、その数1600万人を超える民族で、オランダの総人口に匹敵するぐらいです。最少は珞巴族で3千人弱。文字通り少数民族ですね。ちなみに、日本で一時人気があり、最近また日本での活動を開始した、ビビアン・スーさんは、二番目に少ない高山族のご出身だそうです。

優遇される少数民族

中国では、少数民族の自治を実施し、風習や信仰の自由を尊重し、経済、言語、文字などの文化を尊重、発展させることが憲法で定められております。また、ひとりっ子政策は、最近は漢民族でも夫婦ともにひとりっ子であれば二人目を生んでもよいことになりましたが、少数民族は以前より可能でした。そのほか、大学入試の時には、加分といって、点数を少し増してもらえますし、公務員も地方によっては、何%以上は少数民族出身者を採用するところもあります。税金も優遇されているとのことです。それゆえ、時に優遇されすぎでは、との声も上がるようです。が、いずれにしても少数民族の文化や習慣が保護されるのはとてもいいことであると思っております。


ハルピン出身の友人は、列車で実家に帰るのに、上海を早朝出発し翌日の晩にようやく着くと言っていましたが、それよりもっと遠く、3~4日かかる地域もあります。また、春節の時期には、"春運"といって、故郷に帰るために2億人が移動するといわれています。このように広大な国土、膨大な人口だけでもすごさを実感していますが、それに加えて、日本の総人口に匹敵する少数民族が、独自の文化や風習を守りながら生活し、中国の文化をより豊富に彩っている点も決して見逃せません。北京五輪の開会式で子供たちが55の少数民族の衣装を着て入場していたのも記憶に新しいところです。

せっかく中国に駐在していながら、ほとんど日本人とだけしか交流しない人を多くみかけます。が、日本人同士かたまってしまうのではなく、もっと中国という国に、人に、文化に興味を持つことで、仕事にプラスになるだけでなく、ご自身の奥行きにもプラスになるのでは、と思ってしまうのは私だけでしょうか。

微妙に違うからこそおもしろい中日文化、興味が尽きません。

島田 由利子

ビジネスマナー・ビジネス日本語 講師 (上海在住)

専門分野
ビジネスマナー・日本語講師

日米および香港・上海での長く幅広い社会経験から裏打ちされた、ビジネスマナーおよび語学指導に好評を得る。
各種研修と講演および各誌コラム執筆多数。

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島田 由利子
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