2009年12月16日(水)

今こそ監督者訓練を その1

社団法人 日本産業訓練協会 TWI認証高級講師 高 志明


中国人の私が、日本で学び・働き、そして中国の日系企業で長く働いた経験から中国の日系企業の現状を観察しました。
中国労働者は、意欲はあるものの適切な指導がなられていなく、能力を活かしていないという面を痛感します。

世界の工場(下請け)から脱皮し、近代的な世界の製造業へと向かうには、どうしても社員教育が欠かせません。
特に監督者は、直接的に作業者や担当者と接しており役割と責務は極めて大きなものがあり、監督者への教育訓練は極めて重要です。
その基礎であるTWI現場監督者訓練(Training Within Industry)を学びます。

TWIの生い立ち

Training Within Industryの略語ですなわち企業内訓練です。
1940年代に戦時中のアメリカにおいて、兵器の生産を確保するため、企業内の職場で訓練することを重視して開発されました。
多様な国籍のひとびとを現場で抱え、すぐに仕事を覚えなくてはならない時であって、そのためには、現場監督者たちが従業員に正しく速やかに仕事を教えることが必要であることから、「仕事の教え方(JOB INSTRUCTION)」の訓練を実施されました。
一方現場には色々な年齢、かつ国籍もちがうひとびといかに協力させ、職場チームワークを促進するため「人への接し方(JOB RELATION)」が要求され、さらに、ワーカを指導し、仕事の改善を図り「仕事方法(JOB METHOD)」も普及されるようになりました。
このように、第二次世界大戦中のアメリカで開発された現場監督者の訓練で、世界で最も優秀な現場監督者向けの技能訓練と言われています。


戦後約1950年ごろにTWIが日本に導入され、日本生産本部が中心となり、労働省・通産省そして産業界が共同して、「社団法人 日本産業訓練協会」を設立し、研究し普及に努めました。TWI訓練は、すばやく各産業に広がり、戦後の日本経済の発展に大きな役割を果たしました。
ほぼ60年にも亘って、TWI訓練が盛んに行なわれ、トヨタをはじめとし多くの大手企業が多くの優秀な監督者を育成してきました。
その著しい効果は世界に知られ、70年代から韓国、台湾地域ならびに他の国々もその重要性を認識し、次々にTWI行うようになりました。
21世紀に入り中国にもTWIの重要性が認識されて、すなわち製造大国といわれている中国は製造強国になるためTWIは絶対に欠かすことができない局面を迎えました。

名言

TWIの訓練を真剣に続けられ,企業の発展になくてはならない一部であって,TPSの基礎である。
---トヨタHR部長加藤 功

TWIだけをやってもLean Productionはできないかもしれないが、TWIをやらなければLean Production は絶対にできないだろう。                         
―アメリカLP大師 Jim Huntzinger


注:英語 Lean Production (LP=TPS)  中国語は英語から訳され (精益生産or TPS)

TWIの中身


企業の現場監督者の知識技能は直接企業の発展に影響されます。
TWIは元来、[仕事の教え方(JI)]・[人への接し方(JR)]・[改善の仕方(JM)]の3コースから成り立つもので、企業内に現監督者訓練の中でも最も標準化されているものであります。
それから、この3コースに加えて、社団法人日本産業訓練協会独自で開発されたものに、[安全作業のやり方(JS)]というコースもあります。これらは職業能力開発促進法施行規則にも明記された訓練ですが中国ではまだ行っていません。

TWIは4つの面から訓練

TWI訓練は仕事を教える技能、作業改善の技能、人への接し方技能と安全作業の技能の四つの面で監督者に訓練を行います。
監督者はその技能をもって作業員を指導し、根本的に生産上の諸問題を解決し、さらに生産と品質が向上して、コストが下がることが期待できます。現在も製造業では、新人、未経験者に対し、作業標準どおりに作業を行い、品質、コスト、納期(数量)が確保できるよう指導し、フォローを確実に行うことを目的として業種を問わず広く行われております。

技能は練習により、身につける

TWIの授業は『技能は練習により身につけるもの』というのを理念とし、コースの中で実務練習を多く設けられています。理論的な内容より現場の作業を、練習を通じで課題を導き、理解を深めさせ、技能を身につけさせます。
TWIは 現場における監督者たちが担った会社の責務,使命を容易に完成できることを目的とします。現場 監督者がその技能を身につければ、部下が正確に、安全に、有効に作業できるようになり、さらに現場の生産量と品質を向上させます。


TWI現場監督者の訓練の根底にある基本理念は、


 1.人間性の尊重,すなわち人間1人ひとりの存在価値や尊厳を認める
 2.科学的接近,すなわち作業(業務)上のムリ,ムダ,ムラを取り除くことです。また、TWIの訓練の特徴は、
 1.定型化されている
 2.討議と実演によって行われている
 3.知識より技能,すなわち知るということよりできるということを重視している
 4.講習の進行は平易であり,即効性があることです。


この訓練は、監督者に必要な5つの条件のうち3つの技能 [JI 仕事の教え方・JR 人の扱い方・JM 改善の仕方] を監督者に習得させるものです。


現場監督者たちが仕事うまくできるための5つの条件とは


【条件】(1)仕事の知識 【内容】仕事を遂行するための知識
【条件】(2)職責の知識 【内容】監督者として熟知べき責任と権限
【条件】(3)仕事の改善仕方技能 【内容】作業改善を推し進めるために役立つ技能
【条件】(4)人への接し方技能 【内容】従業員に積極的協力してもらう技能
【条件】(5)仕事を教える技能 【内容】従業員を指導し,正確に仕事ができる技能

高 志明

社団法人 日本産業訓練協会 TWI認証高級講師 (上海在住)

専門分野
TWI(Training Within Industry)・監督者・5S教育

日本の龍谷大学法学院修士課程卒業後、松下電器産業(株)に入社、人材開発センターにて中国赴任者の研修講師として8年間担当する。
2002年帰国。上海松下電工に入社、製造部副部長、管理部副部長、生産管理部副部長を担当し、5S運動を導入し生産効率を高め、人事・社員教育制度などを構築した。
日本および日系企業の豊富な生産管理経験を有する、中国人としては希有なコンサルタント。
TWIは、JI(Job Instructing 仕事の教え方)、JR(Job Relation 人の扱い方)、JM(Job Method 改善の仕方)の3つで構成され、日本では「現場監督者技能訓練」といわれ、中国では「一線主管技能培訓」という。
中国の(日系企業を含む)製造業における現場監督者は、情熱はあれども改善技術に乏しく、その改善の一助になりたいと、全国の企業で製造監督者の研修を請け負っている。

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