2010年01月19日(火)

今こそ監督者教育を その2

社団法人 日本産業訓練協会 TWI認証高級講師 高 志明


仕事の教え方①


日系企業の多くは、監督者教育を軽く考えているようですが、監督者は様々な役割と責任を負っており、その能力と働きは会社の業績を左右します。

重い監督者の役割

まず、監督者の役割を見ましょう。
一般的に、監督者の役割は次のように言われています。
従業員を管理すること、従業員に業務指示すること、仕事を教え・指導すること、そして仕事を調整する「人」であり、従業員に直接的に接している最も第一線の管理者です。
したがって、その役目を果たせる知識と技能が必要となってきます。

多い現場の問題

  • 作業者のミスが多い
  • 標準作業が守られない
  • 検査基準は不明確のものが多い
  • 不良や手直しが多い
  • 道具や設備の故障が多い
  • 安全装置を正しく使っていない
  • 作業者が仕事に興味を持たない

以上のような問題は各企業に多かれ少なかれあると思いますが、これらの問題に対する処置は、通常は監督者がまず行います。
しかし、残念ながら監督者の対応力不足で未解決あるいは問題が表面化せず、会社が儲からないという結果をもたらしています。
社団法人 日本産業訓練協会のTWI (Training Within Industry)研修では、この改善のため、JI(Job Instructing 仕事の教え方)、JR(Job Relation 人の扱い方)、JM(Job Method 改善の仕方)の3つのコースを持っています。
これは、日本では「現場監督者技能訓練」といわれ、中国では「一線主管技能培訓」といいます。

監督者が具備すべき5つの条件

 ①仕事に関する知識を持っていること
 ②仕事の職責に関する知識を持っていること
 ③仕事を教える技能を持っていること
 ④仕事を改善する技能を持っていること
 ⑤部下に仕事を気持ちよくさせる技能を持っていること

すなわち、2つの知識と3つの技能を持つことが監督者の条件となります。

仕事に関する知識とは、職務を正確に実行する為に必要な知識

 材料、機械、工具等の取り扱い知識
 作業方法等に関する知識
 作業上で必要な技術に関する知識
 新製品生産に伴う新たな知識
 職場異動による新たな知識

会社における監督者の職責に関する知識とは、必要な責任と権限に関する知識

 会社方針
 協約
 規定
 安全規則
 生産を推進するための諸計画
 関連する職場間の関係


以上のような2つの知識はTWI研修コースなど外部講師が教える内容ではありません。つまり、各企業の生産に関する知識、各企業に関する業務上の職責と権限は共通性のないものであって、企業内の経営者や管理者が教える必要があります。

TWIは現場監督者に共通性のある技能を教えるもの

では、知識と技能は何か違うだろうか?
知識を得るのは本や、先輩、他人の経験、媒体などから習得します。
技能を身につけるのは練習、実践をしなければなりません。しかも、一旦掌握したら他人が奪うこともできないものであります。例;水泳、自動車運転など
今号で学ぶ「仕事を教える技能:JI」もまさにこのとおりです。

監督者は作業者に仕事を指導する職責と義務がある

部下に正確に安全に良心的に速く仕事を覚えさせる方法は、TWIでは教える技能と呼ばれています。
監督者はその教える技能を使って、どれらの人を教えるだろうか?

1.現在従事する作業者
  昇進や異動に伴う職務の変更
  作業所の基準の変更
  新しい仕事への従事
  経験が浅い
  仕事ぶりがまずい


2.新規に従事する作業者
  初めての作業者


TWIにおける教える技能とは一体どのようなものでしょうか?


それを解明する前に現場の実際の風景を見てみましょう。
ひとつ、現場によく使っている仕事の教える方法は「言って聞かせるだけ」です。


「言って聞かせるだけ」

この方法はだめな教え方とはいえませんが、この教える方法では限界があり不完全な教え方です。


もうひとつ、現場でよく使っている仕事を教える方法は「やって見せるだけ」です。

「やって見せるだけ」

この教え方も監督者(指導者)が自分の経験だけを通して、仕事に関する知識や作業の手順、注意点など一度に作業者に言ってしまい、教える手段と方法を考えない、自己流のやり方です。
結果は、作業者が一部しか覚えられなくて、まだそのとき覚えたつもりでも時間がたつと忘れてしまい、結果的に教えた事がムダになり失敗を招きます。
やって見せたけどその位置の不正確な指導、作業に重要な急所(カン、コツ)をうまく説明もできなくて、作業中のミス起こったときに作業者を叱るばかり。
「何遍に言ったら分かるの?頭が鈍いやなー、阿呆やーな」


しかし、本当は相手が覚えていないのは、自分が教えなかったのだ

教え方の4段階法

TWIで学ぶ教え方(指導する技能)は4段階法です。

 

第1段階-習う準備をさせる
第2段階-作業を説明する
第3段階-やらせてみせる
第4段階-教えたあとをみる


この4段階は具体的にどのように現場で作業者に作業を教えるのか、実演しながら学べます。

「指導内容の4段階法の実演」
正しい教え方は実演で証明されるように、作業者がその作業のステップ、急所、急所の理由もしっかり覚え、ミスなく作業ができるようになります。


次号では4段階の教え方について学びます

高 志明

社団法人 日本産業訓練協会 TWI認証高級講師 (上海在住)

専門分野
TWI(Training Within Industry)・監督者・5S教育

日本の龍谷大学法学院修士課程卒業後、松下電器産業(株)に入社、人材開発センターにて中国赴任者の研修講師として8年間担当する。
2002年帰国。上海松下電工に入社、製造部副部長、管理部副部長、生産管理部副部長を担当し、5S運動を導入し生産効率を高め、人事・社員教育制度などを構築した。
日本および日系企業の豊富な生産管理経験を有する、中国人としては希有なコンサルタント。
TWIは、JI(Job Instructing 仕事の教え方)、JR(Job Relation 人の扱い方)、JM(Job Method 改善の仕方)の3つで構成され、日本では「現場監督者技能訓練」といわれ、中国では「一線主管技能培訓」という。
中国の(日系企業を含む)製造業における現場監督者は、情熱はあれども改善技術に乏しく、その改善の一助になりたいと、全国の企業で製造監督者の研修を請け負っている。

この顧問・専門家のブログを見る

メール

高 志明
このHRAホームページの先頭へ