2010年03月26日(金)

今こそ監督者教育を その4 仕事の教え方③

社団法人 日本産業訓練協会 TWI認証高級講師 高 志明


HRA|中国日系企業の疑問を専門家がアドバイス|Human Resource Association-4段階で指導する方法の細目(18条)今回は「指導の準備・用意の仕方」を解説します。

前回解説した、4段階で指導する方法の細目(18条)が書かれているカードの活用です。右のカードで示したように作業を従業員に指導する前に4つの準備が必要です。


①訓練予定表を作る。

②作業を分解する。

③すべてのものを用意する

④作業場を整備する


今回は「②作業を分解する」を学びます。







何故「作業を分解する」が必要か


なぜ、監督者は、目をつぶっても他人を教えられるほど慣れた作業を、再度作業分解をしなければならないのでしょうか?

または作業を分解したら指導に対して何かよいことがあるのでしょうか?

以前、不完全な教え方で、「いって聞かせる、やって見せるだけでは、作業員は作業をうまくできなかった」例がありましたが、それは、監督者が教える前に指導内容を、如何にうまく伝えるかという方法を考えていなかったからです。

または、伝え忘れたり、自分思っているほどには理解していなかったり、言葉の表現が下手だったりなどの理由からです。


現場に戻って監督者が人に作業を指導するシーンを浮かべてください。

自分がある作業を人に指導すると仮定します。

自分がこの作業を人に教えるとき、1人目、2人目に言った主なステップ、急所などが、1週間後、或いは1ヵ月後、再度同じ作業を教えるとき、同じ順番で、同じ表現をしていますか?

教えた内容が違っていては、同じことはできません。

何故、同じ作業で同じ方法、内容を人に教えられないのでしょうか(指導標準はない)?

それは指導する前に、指導する作業をしっかり整理をしていなかったからです。

整理不足のため、作業を指導するときに大事なところを忘れたり、うまく伝えなかったりということになります。結局、作業員は作業の標準を守れない、不良、返品、設備の故障を起こりやすくなり無駄が発生します。


言い換えれば、職場で様々な問題を起きたことは、監督者が指導する時点でもうその問題が起きていたということです。ただ、違った人、違った商品、違った場所、違った時間、違った設備に問題が発生しただけです。

ひとつの作業を何回教えても、同じステップ、急所、その理由をわかり易く伝えられる道具はないのでしょうか。

それはJI(仕事の教え方:Job Instruction)の作業分解技法です。

あなたが4段階法で指導する目的を達成できます。つまり、作業分解は教える作業の主なステップ、急所または急所の理由は何だとはっきり分かるようにできます。


作業分解シートで解説


JI 訓練で使う、電気コート結び作業の作業標準書は13個のステップがあります(いって聞かせる実演でやって見せた)。が、それは整理しないままでのやり方です。

したがって、作業員は一部しか覚えられなくて、作業ミスが起こり、作業ができません。

正しい4段階法指導では(正しい指導の仕方で、やって見せた)下記の作業分解シートを使って作業を指導します。訓練場面での実演で受講者は、電気コート結び作業は学んだ人がすぐにミスなく(復唱を含め)作業をうまくできました。この理由は下記の作業分解シートを見るとすぐわかります。

すなわち、わかり易く、覚えやすく、直ぐに吸収、消化できる指導の「虎の巻」です。


HRA|中国日系企業の疑問を専門家がアドバイス|Human Resource Association-作業分解の事例

上記の作業分解シートを使って、誰にでも指導内容を整理してから指導すれば、指導方法の標準となり、同じ指導結果を生みます。

作業分解を基に教えている監督者は、単に作業標準書通りに教えるではなく、作業標準書に基づき+自分の作業の経験+「整理」=指導する作業内容 で教えています。


指導内容の整理方法


監督者は自分が慣れた作業を、どうやって上記のシートのように整理できるのか?

これは、作業分解の「自問法」というものがあります。その決まっていたセリフで作業の主なステップ、急所、急所の理由を(自問自答しながら)導きます。

自問法につきまして次回説明しますが、まず作業分解と「主なステップ」作業分解と「急所」について若干述べます。


①作業分解は作業の主なステップ(順序)、各ステップの急所は何かを整理するため。
作業者への作業指示ではなく、作業の説明書でもありません。
主なステップとは仕事をするときの作業手順を一つ一つ作り、調べながら、監督者のあなたは経験者として段階ごとに作業の目的を明確化することです。


②作業分解で各ステップの急所を掴む
急所の役目はすなわち主なステップの目的を達成するための手段と方法です。
それが監督者自身の経験を生かす場所です。特に作業標準書に書かれないもの(勘、コツ、巧み)を「自問法」で急所を掘り起こして、わかり易い言葉で纏めて従業員に伝えます。


また、各ステップの急所を掴むには、三つの条件があります。


1.仕事は完成できるか、駄目か、品質を左右するか? それは「成否」をいいます。

2.危険で、作業員が怪我をする恐れがあるか? それは「安全」をいいます。

3.勘やコツ動作と動き等が作業によい影響があるか? それは「やり易く」をいいます。


当然ながら、急所を掴み、上手な表現で纏めることは、一回やってできるものではなく、ある程度の時間、ある程度の数(作業分解)の積重ねによってよい作業分解を作れる、つまり教える技能を身につけることになります。


次回は「自問法」を学びます。

高 志明

社団法人 日本産業訓練協会 TWI認証高級講師 (上海在住)

専門分野
TWI(Training Within Industry)・監督者・5S教育

日本の龍谷大学法学院修士課程卒業後、松下電器産業(株)に入社、人材開発センターにて中国赴任者の研修講師として8年間担当する。
2002年帰国。上海松下電工に入社、製造部副部長、管理部副部長、生産管理部副部長を担当し、5S運動を導入し生産効率を高め、人事・社員教育制度などを構築した。
日本および日系企業の豊富な生産管理経験を有する、中国人としては希有なコンサルタント。
TWIは、JI(Job Instructing 仕事の教え方)、JR(Job Relation 人の扱い方)、JM(Job Method 改善の仕方)の3つで構成され、日本では「現場監督者技能訓練」といわれ、中国では「一線主管技能培訓」という。
中国の(日系企業を含む)製造業における現場監督者は、情熱はあれども改善技術に乏しく、その改善の一助になりたいと、全国の企業で製造監督者の研修を請け負っている。

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