2010年04月29日(木)

今こそ監督者教育を その5

社団法人 日本産業訓練協会 TWI認証高級講師 高 志明


仕事の教え方④「自問法」

 

「自問法」とは、一定のセリフで自分で手馴れた、作業の主なステップ、急所ならびに急所の理由を掘り起こして「整理」することです。作業内容の整理によって、指導内容の標準を容易に作ることができます。

さて、主なステップを判断するためのセリフを考えます。(考えながら・・・自問自答)

前号(その4)の「作業分解シート」を参考にしてください。


主なステップは何をするかということを念頭に置くこと。

 作業をしながら呟く。

 作業は進んだかな?

 うん、進んだ。

  私は何をしたかな?

  うん、私は (1) よりをもどしてまっすぐにした。

  これは、主なステップになるかな?

  うん!なります。(監督者は作業の順に一つ一つの目的を明確に判断する)

  よし、書こう!(直ちに忘れないうちに書くこと)

  同じくこのセリフで以下の主なステップを類推し、

  電気コード結び作業は5つの主なステップと決めました。


急所は何で、どのようにするかということを念頭に置くこと。

(ステップの達成手段と方法)

必ず自ら作業をしながら自問自答すること。頭に浮かんだものだけでは抜ける可能性があります。

そして、呟く。

1、急所の3条件は成否、安全、やり易く。

2、第①ステップに急所になる所はあるかな?

  3、うん・・・・? 私はいつも15センチを残り寸法にした、

  4、何のためこうしたかな?こうしないとどうなるかな?

  5、うん!こうしないと規格は守れない。

   (4と5は、急所の理由になるのかと自問自答)

  6、それで、急所の三条件にどれか当たるかな?

  7、うん!成否だ!じゃ、急所になるかな? うん!なります。

  8、よし、書こう!

    注意;一つの急所を掴んだと直ちに書く、

    ただし、それは終わりではなく、続けて自問する!

 9、(再度)急所の3条件は成否、安全、やり易く

  10、このステップにまだ、ほかに急所になるところがあるかな?

  11、うん!もうないです。(次のステップへ)

    あるなら;3~8まで繰り返し。

    急所がないという判断をしてから、次のステップに進めることができます。

    同じくこのセリフで、各々の主なステップに対する急所を類推し、電気コード結び作業は5つの主なステップで8つの急所を判断しました

解説;

① 主なステップを判断するのは、作業の順番がポイント

順番のうちに一つ一つ段落を(経験上から)つけます。

まず、一つ一つの作業目的は何か?これは監督者が自分で決めることです。

決まった内容はわかり易く、覚えやすく、直ぐに吸収、消化でき、監督者自身も伝え易いことが理想です。

しかし、作業分解はなかなか直ぐには理想状態にはならないと思います。実践と経験の積み重ねが必要なことは当然です。また、主なステップを判断するときは作業の動作順を中心にします。

ここで、注意することは2点です。

1点目は作業の動作のつながりは、すべての動作ではなく「主な」動作です。

【例】工具箱の引き出しから工具を取出す作業では、

「必要な工具を取出す」が主なステップで、「ドアを開けて、引き出しを引いて」などの動作は主なステップとしてはいえません。

2点目は主なステップに手段と方法、勘、コツ、注意点などを含まないこと。

文法的表現からいうと「目的語+動詞」(○○を、××する)がよいでしょう。


② 部下が、ミスなく作業をできるか否かは、急所を監督者が明確に教えたかどうかによる

そのため、急所をいかに掴むのかは非常に大事なことです。

何で、どの様にするのかは、主なステップに含めずに、急所で掴むことです。

そして急所とは何か?

前号にて、少し説明しましたが、ここで、決まった主なステップに沿って、そのステップを何で、どの様に完成できるのかが、急所でのポイントです。

常識的な急所は不要です。また、見て分かる急所も急所とはいえません。

なぜなら、

監督者が使っている指導用の作業分解は、作業標準書と違って実物があるからです。

また、作業標準書に書かれていない急所はで整理して、明確に伝える必要があります。

「急所」の【例】

(1) 直径や厚さを測るときの当たり加減(手ざわりの勘)

(2) ボルトの締め付けの時、一定の力とラチェットレンチの締め付け音(一種の勘)

(3) 機械工作用バイトのチップ交換時、チップをとめるネジをあまり強く締め過ぎない

(4) 荷物をクレーンで吊り上げる場合、鋭角部には必ず当て板をあてる(ワイヤーの切断防止)

(5) 2人以上で組んで作業をおこなう場合、合図と確認をその都度行いながら作業をする(自動化設備等の誤動作防止)


③ 急所の理由も教える

急所の理由は4段階法の第2段階と第3段階では明確には要求されません。作業分解シートもその理由欄はありません。しかし、部下は急所だけ分かっても、その急所の必要性の理由を知らないと自分が忘れたり、勝手に省略したりします。そのため、指導する時は急所の理由も伝えるべきです。

自問法のなかにも、理由を判断するセリフはありませんが、②で急所判断するときに4項と5項は自問しながら急所の理由をまとめました。


以下参考

主なステップ 急所 急所の理由
よりをもどしてまっすぐにした 15センチ 規格

以上では、監督者は正確に指導する作業分解の必要性と(自分が手馴れた作業に対して)正確に伝える纏め方の「自問法」を解説しました。

JIでは、4段階法で正しく指導するのに「作業分解」はなくてはならない監督者の準備仕事であります。

なお、JIの作業分解についての解説は、講師によって若干不一致なところはあります。

私は、製造現場での経験と授業の経験に基づいた総合的な説明をしました。

次回は、訓練予定表の作り方を勉強しましょう。

JIの詳細は、5月開催のセミナー(17日18日中国語、21日日本語)に、ご参加して体験してください。

高 志明

社団法人 日本産業訓練協会 TWI認証高級講師 (上海在住)

専門分野
TWI(Training Within Industry)・監督者・5S教育

日本の龍谷大学法学院修士課程卒業後、松下電器産業(株)に入社、人材開発センターにて中国赴任者の研修講師として8年間担当する。
2002年帰国。上海松下電工に入社、製造部副部長、管理部副部長、生産管理部副部長を担当し、5S運動を導入し生産効率を高め、人事・社員教育制度などを構築した。
日本および日系企業の豊富な生産管理経験を有する、中国人としては希有なコンサルタント。
TWIは、JI(Job Instructing 仕事の教え方)、JR(Job Relation 人の扱い方)、JM(Job Method 改善の仕方)の3つで構成され、日本では「現場監督者技能訓練」といわれ、中国では「一線主管技能培訓」という。
中国の(日系企業を含む)製造業における現場監督者は、情熱はあれども改善技術に乏しく、その改善の一助になりたいと、全国の企業で製造監督者の研修を請け負っている。

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