2010年06月30日(水)

今こそ監督者教育を その6

社団法人 日本産業訓練協会 TWI認証高級講師 高 志明


仕事の教え方④「訓練予定表の作り方


前回までは4段階法を正しく実行するための用意の中で最も重要なひとつ「作業分解の方法」について説明しましたが、今号は、それと同様に重要な「訓練予定表」について説明いたします。

誰を、どの仕事に、いつまでに訓練するか

指導をするためには、計画がなければ、4段階法だけでは指導効果は落ちます。
仕事をする場合、まず計画し、それに沿って実行するのが普通でしょう。
作業を指導することも同じで、必ず正し手順書(カード)にしたがって準備することが重要です。
「仕事の教え方」で、監督者に要求された訓練予定表は以下の3つの内容が必要です。つまり、監督者は誰を、どの仕事に、いつまでに訓練するかという3点の予定です。


事例を見ながら7つのステップで訓練予定表を作ってみます。
ただし、これはあくまでもひとつの例ですので皆様の職場実態に合わせて考えてください。
では、訓練予定表作成7ステップを説明します。


HRA|中国日系企業の疑問を専門家がアドバイス|Human Resource Association-訓練予定表の事例


① は、作成者、職場、日付を書き込みます。


② は、仕事の種類を書き込みます。
もし、作業員の作業が同じであれば、等級区分、熟練程度で、機械で区分するならその機械で作れる製品でもよいでしょう。


③ は、作業員の名前を書き込みます。


④ は、各作業員ができる作業を確認し、記号をつけます。
その仕事ができる者☑ 不安定者 △。
この事例は庄司さんの締め付け作業が不安なので△記号をつけました。


⑤ そして、以下の3つ情報から,職場での訓練ニーズ(必要性)を絞ります。

  1. 人事異動はあるかどうか?・・・退職、昇進、配置転換など。
  2. 作業ぶりの問題はあるかどうか?・・・やり損ないが多い、度々怪我をする、機械や道具を壊すなど。
  3. 生産上の変化はあるかどうか?・・・生産能力の過不足、増産、新製品、など。

この事例でいえば

  • 黒田さんが3月末退職します。人事異動の横に書き込みます。
  • 庄司さんは締めつけ不安定です。作業ぶりの横に書き込みます。
  • 電気コード結び作業が、3月下旬にもう1人必要です。生産上の変化の下(電気コード結びの横)に書き込みます。

以上で職場訓練のニーズが絞られました。


⑥そして、確認できた3つの情報から訓練予定を立てます。
 誰を訓練しなければならない?
 どの作業にたいして?
 いつまでに?


仕事の緊急性から
急ぎは、庄司さんの締め付け不安定対策です。
いつも不良がでる恐れがあるからすぐ強化訓練はやりましょう。では、1月25日までに。


次は、電気コード結び作業がもう1人必要です。
入江さんが電気コード結び作業に適した者だと判断しましたので、彼を、3月20日までに。


さらに、黒田さんが3月末退職になります。
彼が退職すると、調整作業は白川さん1人となってしまうので、補充訓練が必要です。
調整作業は難易度が高い作業ですので最もふさわしい野村さんとします。なお、調整作業実習の必要性があるので、黒田さん退職一週間前に野村さんの訓練を終えることとし、作業実習は黒田さんに見てもらうにしました。 では、3月22日までに。


⑦は、作業分解を用意することです。
前号までに説明したように、4段階法で指導するには作業分解が必要です。
誰を(対象による指導の量)、どの作業(整理して、指導標準)について、作業分解を作ります。すでに作業分解を、過去に作ってあるならそのまま使ってもよいですが、無い、または新製品作業なら作らなければなりません。
注:訓練予定表は、自分の職場の作業分解番号を編集して、作業分解シートにあわせて番号を書き込んでおくと取り出しやすい。

訓練予定表について要約

監督者としての責務から部下の指導をしなければなりません。
見よう、見まねで覚えさせることはもうやめましょう!
職場では、次の話をよく聞きます。


・・・・・・するには、とても時間がかかります。面倒です。
・・・・・・している間に、どんどん間違いがおきます。
・・・・・・自分で見て覚えももらう、それ以外には仕方がありません。


しかし、そんなことを言っていても何もなりません。とるべき手段は、まずどのぐらい時間がかかるかを決定し、次にもし出来るなら、重点指導によってその時間を短縮することです。
「時間がかかる」ことで、やらない口実にしてはいけません。
「時間をかける」だけで、自己満足してもいけません。
訓練予定表は10分~15分程度で作ることができます。
しかし一度作っても、人事異動があったり、生産計画変更があったり、その他何か変わったことが起きて、訓練が必要になる場合には、さっそくこれを見直さなければなりません。
そのときの事情に応じて訓練予定表を書き直すとしても、これは、5分もあればできます。


同じ要領で訓練予定表を立てて見ましょう。


用意の仕方の3つ目、4つ目について、次号で再会しましょう!

高 志明

社団法人 日本産業訓練協会 TWI認証高級講師 (上海在住)

専門分野
TWI(Training Within Industry)・監督者・5S教育

日本の龍谷大学法学院修士課程卒業後、松下電器産業(株)に入社、人材開発センターにて中国赴任者の研修講師として8年間担当する。
2002年帰国。上海松下電工に入社、製造部副部長、管理部副部長、生産管理部副部長を担当し、5S運動を導入し生産効率を高め、人事・社員教育制度などを構築した。
日本および日系企業の豊富な生産管理経験を有する、中国人としては希有なコンサルタント。
TWIは、JI(Job Instructing 仕事の教え方)、JR(Job Relation 人の扱い方)、JM(Job Method 改善の仕方)の3つで構成され、日本では「現場監督者技能訓練」といわれ、中国では「一線主管技能培訓」という。
中国の(日系企業を含む)製造業における現場監督者は、情熱はあれども改善技術に乏しく、その改善の一助になりたいと、全国の企業で製造監督者の研修を請け負っている。

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