2010年07月31日(土)

企業のリスクマネジメントと保険⑤ 見直し必須の労災事故と保険(江蘇省版)

宜安保険経紀有限公司 日系企業本部長兼上海分公司
副総経理 高見 均


今まで①中国保険の歴史と現況②労災事故と保険③火災事故と保険④交通事故と保険について代表的な或いは見落としがちな問題について触れて参りました。

さて、去る7月1日に損害保険ジャパンの中国現地法人、日本財産保険(中国)が蘇州市工業園区に江蘇分公司(支店)の営業を開始しました。

これで「何がどう変わるのか?」

この辺りを、今回は以前報告した②労災事故と保険を中心に考察いたします。

何がどう変わるのか?

今までは、中国ローカル保険会社でしか保険を掛けることができなかったのが、これからは日系保険会社の選択肢が出てきたという訳です。これにより、江蘇省に於いては②で書いた労災関連保険の内容を根本的に見直すべきだということです。この地域の企業にとりましては朗報です

労災(工傷)事故に備えた保険については

前のコラム②をご参照頂ければと思いますが、概要を紹介しますと次の通りです。

一般的には、政府管掌の労災(工傷)保険の上乗せとして掛ける雇主責任保険と、団体補充工傷保険をセットで加入し、プラスαとして人身意外傷害保険の加入をお薦めした訳です。

ところが中国国内保険会社では補償されないものがあり、上海市行政管轄区内以外、例えば近隣の江蘇省(蘇州市や南京市、常州市など)地域の現地法人が保険を付保する場合まだ日系損害保険会社の営業認可が下りていなかったため中国国内保険会社に付保せざるを得ず、しかも、中国国内保険会社に雇主責任保険を付保したとしても重要な部分が穴抜けになってしまいました。

それは「後遺障害の労働能力障害がある場合で労働契約終了または労働者本人から労働契約の解除を申し入れた場合、雇用単位は一括工傷医療補助金と廃疾就業補助金を支払わなければならない。」と工傷保険条例で定められていますが、この場合、企業の負担は、等級や職種などによっては20万元を超えることも多々あり、この負担部分は工傷保険基金からの支払いはありませんので企業にとっては大きな負担となります。この基金から支払われない部分をカバーするために、せっかく上乗せとして雇主責任保険を掛けたつもりであっても中国国内保険会社の雇主責任険では、支払われません。そのため団体補充工傷保険もセットでの加入が必要でした。


この度の損害保険ジャパンの中国現地法人、日本財産保険(中国)が中国保険監督管理委員会より6月10日付で正式に設立認可を取得し、7月1日に蘇州市工業園区に江蘇分公司(支店)の営業を開始したことにより、一気にこの問題が解消することになります。

つまり雇主責任保険と団体補充工傷保険の2つの保険に加入しなければならなかったのが雇主責任保険に加入すれば足りることになります。

そして保険期間の途中であってもこの保険の見直しが必須ということになります

雇主責任保険と団体補充工傷保険の2つの保険に加入している場合には、期の途中であっても既存の契約を解約し新規に加入しなおした方が保険料面でもメリットがあります。

是非、この機会に見直しをお薦めいたします。未だご加入でない企業様は問題が発生しない内に導入をお薦めいたします。「備えあれば憂いなし」です。

新規見直し後のお薦め保険は

①雇主責任険

江蘇省の企業様にとっては雇主責任保険に加入すれば工傷保険条例上の責任については保険での上乗せが出来たことになります。労働災害が起きた場合、支払い金額において会社(雇主)と労働者間で争いとなることが多く、この様に争いとなった場合の訴訟費用などについても保険でカバーされます


プラスαとしての

 

②人身意外保険(傷害保険)

しかしながら、法廷外での争いでこれを長引かせると大きな労働問題になりかねません。労災上の補償金額については過大に支払うことなくしかも早期に解決することが肝要ですが、会社の裁量で任意に被災者に支払いが出来る一つのファンドとして、定額で支払われる人身意外保険を上手に活用し、速やかに示談をすることを推奨いたします

<概要>従業員の就業中における急激かつ外来の偶然な事故による

     主契約:傷害死亡保険金(約定金額)、

          後遺障害(後遺障害の程度に応じた金額)

     特約付帯:治療費用(実費)や入院手当等を担保します。


転ばぬ先の杖として企業の保険リスクヘッジに、上記保険の付保をお薦めいたしたいと思います。


詳しくは、リスクマネージメントセミナーでも詳しく述べたいと思いますが、企業により諸条件が異なりますので、お問い合わせください。

高見 均

宜安保険経紀有限公司 日系企業本部長兼上海分公司副総経理
(上海在住)

専門分野
企業リスクマネージメント・労働災害対策・企業資産保護

大学法学部卒業後、大手物流会社の機関代理店勤務 (通算27年)。
基板関連冶具メーカ役員を経て、保険ブローカーに転進。中国においては数少ない保険ブローカーとして、中国全土を回り、有効な保険をかけるべく指導している。物流会社およびメーカ勤務経験を活かして、労働災害に関する造詣は深い。

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高見 均
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