2010年08月23日

協議一致労働契約解除について

上海麗宝商務諮詢有限公司 総経理 叶 暁


ある事情で会社が、従業員に自ら辞職するように求め、当初は本人も承知したが、その後考え直して、会社に「協議一致」契約無効を主張したが、労働者が敗訴した事例です。

[争点]

1、労働契約の解除について

2、従業員が企業から辞職するように説得された上の辞職行為の有効性について

[事例]

2007年1月1日、某従業員はある会社と労働契約を締結し、契約期限は2007年12月31日だと約定した。2007年末、双方は労働契約の延長をし、延長期限は2008年12月31日とした。

契約満期前、会社は契約延長しないと決め、2008年11月10日に当従業員と相談し、選択させた。

1)自ら退職願を出す、そして退職願を出してからの一ヶ月間は有給休暇を有し、法定補償金より高額な補償金を有することを会社は保証する。

2)契約終了日に契約を終了し、法定補償金だけを支給する。

相談した上、当従業員は当日退職願を提出し、「一身上の都合で退職する」と明確に書いた。

双方は当日で労働契約を中止し、「協議一致労働契約解除契約書」を結ぶ。

1)従業員からの退職願を受け、会社は従業員と協商の上で労働契約を解除した。労働関係解除日は2008年12月9日とする。

2)従業員は2008年11月10日から2008年12月9日の間に有給休暇を有する。

3)会社は法定より高額な補償金を支払う。

会社は2008年12月31日に契約中止となる他の何名の従業員にも同じ内容で処理し、従業員は全員自ら退職することを選んだ。双方は協議の上で労働契約を解除し、会社は法定より高額な補償金を支払った。

2009年2月、従業員たちは労働争議仲裁委員会まで訴訟して、退職願を無効にし、労働関係を回復するように求めた。

[審理結果]

仲裁委員会:当事件では、従業員は辞職か契約の正常中止を選ぶ権利があり、当事件での辞職は従業員本人の意思と見なされ、会社のしたことも従業員の利益に損失を与えていない。よって、仲裁委員会は従業員たちと相談をし、結局協議解決で問う事件を終わらせた。双方の労働関係は2008年12月9日にもって、解除されたと認定した。

[研究]

1.[労働契約解除]とは何か?

[劳动部关于贯彻执行(劳动法)若干问题的意见]規定、労働契約解除とは、労働契約が締結されてから、満期までの間に、何かの原因で労働契約の当事者の片方或いは双方が労働契約を中止することを指します。

労働契約の解除は法定解約と約定解約の二種があり、労働法の関連規定により、労働契約は片方解除と双方協商解除両方できます。

労働契約の解除はまだ履行していない部分だけに効力があり、既に履行した部分には及びません。

 

2.企業側はどんな状況で直接労働契約を解除できるか?

従業員は<労働法>25条,<労働契約法>39の規定を違反した場合、企業は直接労働契約を解除できます。

1)試用期間中に採用条件と合わないと証明された場合。

2)労働紀律或いは企業の制度をひどく違反した場合。

3)仕事怠慢や横領などの会社に経済損失をもたらした場合。

4)刑事責任を負わせた場合。

5)他の会社と同時に労働関係を成立し、改めない場合。

6)詐欺、脅迫などの手段で労働契約を締結した場合。

 

3.企業は従業員と協商で労働契約を解除できるかどうか。

<労働法>第24条,<労働契約法>第36条の規定により、企業と従業員が協商した上で、意見が一致した場合には労働契約を解除できます。

 

4.協商で労働契約解除について

[労働契約法]が公布された後、一部の企業は従業員を辞職させ、新たな労働契約を締結する、雇用形態を直接雇用から労務派遣に変更する、或いは直接労働契約を解除するなどの方法を使っています。

そのような状況では、該当操作は合法かどうかを判断する依拠は、従業員が企業に辞職されられたから辞職したことが有効かどうかです。よって、従業員の辞職は有効かどうかを判断するには、本人の真意かどうかが判断標準となります。

一般的には、従業員は脅迫されたから辞職を選んだと出張するかもしれません。最高人民裁判所が公布した[关于贯彻执行<中华人民共和国民法通则>若干问题的意见(试行)]規定、脅迫とは“公民及びその親戚、親友の健康、名誉、財産などに損失を与えることで強要し、相手に自分の意思を反する行為をさせる”行為であるとしています。

よって、従業員は脅迫を受けたかどうかの判断依拠は:

 

(1)企業は従業員或いはその親戚、親友の健康、名誉、財産などに損失を与えることで強要し、従業員に辞職させた。つまり、従業員が辞職しなければ、利益に損失をもたらすことになる。

(2)従業員が辞職した後の利益は辞職しない場合の利益と比べ、損失があった。

 

当事件では、企業の行為は[利导]で脅迫ではありません。

 

(1)企業は従業員の利益で脅迫するではなく、従業員にもっと有利な方法で辞職させた。当企業の考えでは、当方法で労働関係を終了することで、労働関係の解除証明には従業員自らの辞職となり、再就職には有利であって、有給休暇を利用して再就職活動ができる。

(2)従業員が辞職を選んだ後、実際利益には損失がなく、有利であった。当事件の中で、もし従業員たちは辞職を選ばなかったら、労働契約満期で労働関係は中止となる。ただ一ヶ月給与分の経済補償をもらえるだけ。自ら辞職を提出した場合は、それ以上の補償を得られた。

[結論]

注意する必要があるのは、普通の挙証原則で、従業員は脅迫されたから辞職したことを自ら証明しなければなりません。実際の場面では、脅迫に関する挙証は非常に困難であるので、従業員の角度からみると、関連記録を保存すべきです。

企業の角度からみると、従業員と相談する時に、従業員たちの自由選択権利を強調し、各種な方法の法律結果と利益に関する影響を詳しく説明することで、従業員たちに自身の状況に応じて選択させます。そして関連書類に署名する時に、書類の中に相談の状況を記入することで双方とも具体的な法律結果を明確にし、従業員の意思は事実であったと証明できます。

叶 暁

上海麗宝商務咨詢有限公司 総経理 (上海在住)

専門分野
労働関係法・企業法・労働仲裁

日本の近畿大学法学部および大阪大学大学院法学研究科卒業後は上海へ戻り、コンサルタント会社の設立に参加共同経営後現在に至る。日系企業の、設立代行から不動産と人材確保および経営相談・指導を含めた各種コンサルティングおよび社員研修を行なっており、日中間ならびに企業・人材の架け橋として努めている。
各社顧問と各種セミナー講師多数。

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