2011年10月25日(火)

"中国で働く"⑨ “仕事の見える化”のための目標管理

順利包装集団 福喜多俊夫

 中国には“報、連、相”が無い、とはよく言われることですが、管理者の方は指示をした後、結果が出るまで何も報告が上がって来ず、うまくいっているのかどうかイライラさせられることが多いと思います。中国では“仕事の見える化”がとても難しいものです。

 “見える化”は現場管理の世界のものと思っている方も多いと思いますが、見える化の対象となる重要な情報は次の3つに集約されます。

①何が起きているか
②それはなぜなのかか
③どうすればよいのか

これは改善活動でよくいわれる、現状把握、問題分析、改善活動の3ステップに他ならず、すべての仕事に共通するもので、”仕事を見える化“することは、「今、何が起きているのか」「それはなぜなのか」という情報を集め、「どうすればよいのか」という意思決定をするプロセスを管理者とメンバーが共有化できるようにすることです。

1.“仕事の見える化”は管理者にとっても部下にとっても有用

この“仕事の見える化”を制度として行うために「目標管理」の手法を取り入れると有効です。目標管理のシステムの中で、会社の方針、グループの目標を見える化し、各メンバーの仕事を目標書として共有化することにより、管理者はメンバーの業務進捗が把握出来、メンバーは上司や他のメンバーとの「予測可能性」を高めることが出来ます。

自分を取り巻く環境が曖昧であったり、不確実であったりした場合、一人ひとりはその場で自由に動くことが出来ません。何が起きるか分らない環境では防衛的に構えざるを得ません。ここで大事なことは「予測可能性」です。予測可能であることが安心感を作り出し、個人が自由に動くことを可能にします。ここでも「目標管理」が役立ちます。

2.目標管理は単年度目標を個人目標にブレークダウンしたものと思えばいい

多くの企業には種々のマネジメントシステムが導入され実施されています。最近、大抵の会社には品質システム(ISO9001)と環境システム(ISO14001)が導入され、経営システムとして長期計画、中期計画、単年度計画などが設定されます。はじめて目標管理制度を導入するときこれらとの整合性が問題となります。ここでは、余り難しく考えずに、目標管理は単年度計画を個人目標にブレークダウンしたものと考えればいいと思います。

部門長は目標管理制度を導入する前でも、組織目標を立て、それを達成するための実行計画を作り、組織目標達成のための役割分担を決め、定期的に部下の業務の進捗管理を行い、必要に応じて部下に支援を与えていたはずですし、メンバーは自分なりの目標と実行計画を立てていたはずですから、これまでやっていたことが体系的に整理された状態となる、と考えれば導入に抵抗はないと思います。

3.仕事のいろいろな局面を“見える化”することが大事

もう一点、目標管理は“仕事の見える化”のためのひとつの手段です。見える化を補強するために、仕事のいろいろな局面を“見える化”することが大事です。たとえば、事務所メンバーの出張予定は壁の予定表を見れば一目瞭然であることが必要ですし、来客予定や会議予定、その他諸々のことが“見える化”されている必要があります。

福喜多 俊夫

福喜多 俊夫

順利包装集団(総公司:香港)総裁
(上海在住)

専門分野

海外子会社管理(経営管理・工場経営・品質保証)、目標管理、包装・物流情報

カネカ勤務中は米国、ベルギー、東南アジア(シンガポール、マレーシア、タイ、台湾、フィリピン、中国、香港)の子会社管理、工場指導を担当し、関連子会社に10年ほど出向していたこともあるので、中小企業、特に海外の中小工場経営が得意。

【資格】
◇技術士(経営工学部門)
◇APECエンジニア(工学部門)

【参加団体】
◇大阪能率協会
◇技術士包装物流会
◇(財)海外職業訓練協会(OVTA) 国際アドバイザー

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