2012年08月21日(火)

“中国で働く” ⑯ 小さい改善を大事にしよう

順利包装集団 福喜多俊夫

 先に中国でも現場労働者が「改善活動を楽しむ」時代に入りつつあるのではないかと書きましたが、中国で「現場からの改善」を期待し、「改善活動を楽しむ」仕組みを作るためには「小さい改善を大事にする」ことがとても大切です。

1.作業標準は固定的なものではない

 今や日系企業だけでなく、多くの中国企業もISO9001や14001の認証を受けて、工程では作業標準を遵守する指導を行っています。もっとも、作業標準は有名無実となっていて、作業員は自分がやり易い様に作業手順を変更し、それが作業標準の改訂に反映されてないケースも多々見られます。これは困ったことですが、ここにも改善のチャンスがあります。

 作業員が今の作業は不合理だと感じているならば、それを素早くピックアップして、品質に影響させずに工程を合理化出来ると判断できたならその方法を採用します。このためには変更をすぐに作業標準の改訂に反映させるスタッフの手助けが必要です。

 スタッフの手助けを得て現場の声を実現させる仕組みを作るのは経営トップの仕事です。 これにより、現場では仕事が楽になるという実感を味わい、自分の考えが取り入れられたという満足感が得られます。そして、改善成果に対する報酬が付加されます。 このような「小さい改善」の連続が大きな改善に結びついていきます。

2.社長(総経理)は具体的な改善策は出せないが、改善すべきポイントは指摘できる

 忙しい社長(総経理)は四六時中具体的な改善策を考えている時間はありません。しかし、工場内の事務所に席を置いている社長は必ず、朝夕には現場を巡回するでしょう。(もし、現場へあまり出ない社長がいたら、明日から必ず朝夕現場を巡回して下さい)

 三現主義(現場、現物、現実)は社長にも適用されます。現場は改善の宝庫です。現場作業を見ていて、“ここはもう少し工夫出来るのではないか”と気付けば、それを現場責任者に伝えましょう。そこから知恵を出すのは現場の仕事です。

 現地会社のトップは日本本社の工場や取引先各社の工場を見学させてもらうチャンスが現地会社のスタッフより遥かに多いでしょう。そのようなチャンスにはそれぞれの会社の“生活のチエ”的工夫をしっかり学ぶことが大切です。 また、自社のスタッフにすぐれた他社の現場を見せるチャンスを積極的に作りましょう。

 そして社内に「小さい改善を大事にする」気風が出来れば、それが必ず大きな改善に結びついてきます。

福喜多 俊夫

福喜多 俊夫

順利包装集団(総公司:香港)総裁
(上海在住)

専門分野

海外子会社管理(経営管理・工場経営・品質保証)、目標管理、包装・物流情報

カネカ勤務中は米国、ベルギー、東南アジア(シンガポール、マレーシア、タイ、台湾、フィリピン、中国、香港)の子会社管理、工場指導を担当し、関連子会社に10年ほど出向していたこともあるので、中小企業、特に海外の中小工場経営が得意。

【資格】
◇技術士(経営工学部門)
◇APECエンジニア(工学部門)

【参加団体】
◇大阪能率協会
◇技術士包装物流会
◇(財)海外職業訓練協会(OVTA) 国際アドバイザー

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