2012年08月21日(火)

企業のさらなる発展は幹部の意識改革で

佐藤中国経営研究所 代表 佐藤 忠幸

日系企業の多くは、今曲がり角にたっています。

親会社からの指示に基づいて作り指示された所に運ぶだけでは、とうに成り立たなくなっており、親会社向けの製品だけではジリ貧となっています。

中国の市場も過当競争で価格も厳しく、古いお客様も日系企業だという理由だけでは何処も買ってくれなくなりました。過去のモノの考え方では今後の発展成長は有り得ません。

経営破綻したJALが新経営陣の基、全社員の意識改革を図りわずか2年で黒字転換したことをお考え下さい。

幹部の意識を変える研修を

中国日系企業の新しい姿を作り、新たな発展を迎えるには幹部の意識改革を図ることが必要です。しかし、幹部会議でいくら説明し理解を求めても、心から共感し意識を変えてもらうことまでは困難です。

幹部研修の中で、グループディスカッションや様々な演習の中で、体で覚え理解してもらい意識改革するしか方法はありません。それでも研修会場を出た瞬間に半分以上忘れ、1週間もすれば90%以上忘れてしまいます。したがって、2週間おきに、手を変え品を変え繰り返し研修する必要があります。

理念の共有化から

研修テーマの第一は、企業の未来像・経営理念・経営目標の共有化です。

総経理様にそれらがあるかと伺うと「親会社のものを使っているよ」とのお答えが多いのですが、それではダメです。使えません。親会社とは成り立ちも経営環境も違います。求める将来像も異なります。経営環境も日本とは異なります。

現地法人独自の、企業の未来像・経営理念・経営目標を作る必要があります。冒頭に書きましたように経営環境も変わっているのですから、従来のそれも見直す必要があります。

その結果「これで行こう」と決断できたら、それを幹部諸侯と共有化しましょう。

これが、意識改革の第一歩です。

JALが「JALフィロソフィ」で意識改革を図ったのはご承知のとおりです。

幹部の職責の理解を

 

幹部諸君の職務はある程度は明確になっていると思いますが、幹部の責任はどうでしょうか?意外に不明確な会社が多いようです。それが証拠に、部長達とお話していると「うちの課長は役にたたない」と平気で言われます。課長をそうしたのは誰の責任なのか、全く自覚していません。課長や係長とお話しても同じです。大部分の問題を自分の問題とせず、部下や他人に転嫁しています。身の保全・保身を先行させています。それを許していた総経理の責任も重大です。しかし、責任を追求しても仕方ありません。

職責を自覚させて、行動を変えさせるのが幹部研修の第二テーマです。

コミュニケーションの理解

以前にも書きましたように、日本人はコミュニケーションが下手です。回りくどい、結論が分からないなど、通訳泣かせです。では中国人は?やはり下手です。しかし、下手の内容が違います。聞き方は早とちりですね。話し方は問題ありませんが、大部分が言い放しです。

「私は、○○に言いました」
「私は、○○にメールしました」
「私は、○○にFAXしました」
「だから、××しないのは、○○の責任です」

こんなことを言う幹部は、無責任です。社内からこの言葉を一掃する必要があります。

コミュニケーションの原則は、「相手が行動して初めてコミュニケーションが取れた」です。これを直せるのは、幹部研修でしかありません。心からこれを理解してもらう必要があります。

仕事の仕方の理解

多くの幹部は、仕事に追いまくられて「忙しい、忙しい」と半分嘆き、半分自己満足しています。仕事に追われず、仕事を追いかけるための、計画的な、主導的な仕事の仕方を教える必要があります。

その他、教え、理解させ、納得して行動してもらうべきテーマは限りなくあります。そのテーマを理解させながら、幹部の意識改革を図っていきます。これには時間もお金も必要ですが、これで新会社が生まれるなら安いものです。

佐藤 忠幸

佐藤 忠幸

佐藤中国経営研究所 代表 (上海在住)

専門分野

企業管理・人事労務・労使関係・品質管理・幹部・5S研修・社内規定

電子・機械・成型・縫製など異業種製造業数社で、日本および海外子会社で数多くの会社立ち上げと再建業務に携わる。現在は上海と横浜を基盤として、幅広く、経験に基づいた相談と指導を行っている。各社顧問と各種セミナー講師および雑誌や新聞への執筆多数。

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