2012年12月24日(月)

改善活動に終わり無し

佐藤中国経営研究所 代表 佐藤 忠幸

 昨今の経済情勢から、中国の日系企業は親離れを促進しています。

 すなわち、日本の市場頼りだったのから中国内に販路を拡大しています。必然的に自ら販売活動の必要性が出ますが、もっと難関は品質保証が親会社を頼りにできなくなったことです。さらに、過去に経験の無い業界にも販路を拡げた結果、過去の管理手法では通用しないことも起きています。例えば、自社としては機械加工業界で変わってないとしても、従来の顧客が家電業界だったのが、事務機業界や自動車業界へも販売するようになった瞬間、管理手法が変わります。(どの業界が難しいというのではなく、違いがあるということ)

 これらのことから、改善活動や小集団活動を活発に行う企業が増えてきました。しかし、本当に改善されているのでしょうか?

改善提案は年末に集中

 改善提案制度を実施している会社は多数あります。提案箱も随所に置いてあります。

 そして、更に活発化しようということで、春節前に開催される忘年会などで年度表彰もしています。提案件数と提案内容で審査しランク付けして、表彰状とともに記念品や金一封を渡しています。ところが、初年度は活発に提案も出ますが、2年目からは極端に減少します。アッという間に種切れになってしまったのです。

 しかし、提案事務局が色々な手段で圧力を加えた結果、11月ぐらいからボツボツと提案され始め、12月や1月にピークを迎えます。明らかに忘年会での表彰が目当てです。

 これで、意義のある改善提案が出るのでしょうか?

3ヶ月で終わりの小集団活動

 改善提案制度では効果が出ないということで、各社がQCサークルなどの小集団活動をやり始めました。それを活発化しようということで、QC大会も開催しています。

 QC大会は、多くの会社が12月に開催されます。ここでは、予選で選ばれた10チーム程度のグループが数々の資料を示し如何に効果ある改善をしたかという発表をします。勿論、上位のグループには表彰され、それが属する部課長の栄誉ともなっています。

 某日系企業から、最近改善活動内容が低調だが何故かというご相談がありました。

 実情を探ると、ここの小集団活動は10月から12月までの間しか活動していませんでした。担当者から事情を聞くと、「QC大会に良い発表をしたいことと、改善を一年中やる暇もテーマも無いよ」とのことでした。

 QC大会のための小集団活動は、本当に小集団活動と言えるのでしょうか?

PDCAサイクルに終わり無し

 改善手法には色々ありますが、それの代表がQC Storyです。通常は9Stepで改善をしていきます。その過程でQC七つ道具なども使います。それらの解説は別途としますが、問題は改善活動を含めた仕事にPDCAサイクルを如何に回すかです。

  • P ⇒ 計画Plan  目標を立てて、方法を検討(作業の7~8割がさかれる)
  • D ⇒ 実行Do  計画・方法の実行
  • C ⇒ 確認Check  計画に対して実施結果を確認
  • A ⇒ 処置Act  問題処置と反省に基づく実施の継続、新たな目標設定

 計画が全ての業務の中で一番重要であり、難しいのはそのとおりです。しかし、更に重要なことはPDCAサイクルを回し続けることです。

 PDCAを回さずに仕事をした場合、結果的に下手な仕事の仕方となり、仕事に追われる立場になっています。仕事を追いかける立場の人は必ずPDCAを回しておりPlanがしっかり出来ています。

 改善活動で考えた場合、目標設定をし、要因分析をし、対策案を考えた場合、一つの対策ということは有り得ませんね。二つ目、三つ目と対策実施するのには期間がかかります。また、それらの実施過程で新たな課題と対策案が出るものです。だから改善は永遠であり、PDCAサイクルは永遠に回り続ける必要があるわけです。

本来は人事評価制度で

 改善活動は主要な業務です。

 提案制度やQC大会のための余技ではありませんし、暇つぶしの仕事ではありません。

 したがって、ある時期だけの活動ではなく、年間を通した活動です。そして主要業務だとすれば人事考課で評価し賃金に反映すべきです。

 改善活動を活発化するためには、まず人事考課項目とその評価方法を見直すべきです。そして改善が活発な企業に変えてください。

佐藤 忠幸

佐藤 忠幸

佐藤中国経営研究所 代表 (上海在住)

専門分野

企業管理・人事労務・労使関係・品質管理・幹部・5S研修・社内規定

電子・機械・成型・縫製など異業種製造業数社で、日本および海外子会社で数多くの会社立ち上げと再建業務に携わる。現在は上海と横浜を基盤として、幅広く、経験に基づいた相談と指導を行っている。各社顧問と各種セミナー講師および雑誌や新聞への執筆多数。

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