2013年09月09日(月)

中国の幹部教育 ②幹部会議の活用

佐藤中国経営研究所 代表 佐藤 忠幸

 「幹部教育といっても時間も費用も無いよ」といわれる方もいますが、幹部会議はしていますね?幹部教育の第一歩は会議の活用です。

 「会議をしても、幹部からは意見も出なく報告と伝達だけで、あまり意味が無いよ」と言われる総経理も多々おられます。

 一般的に中国の企業経営で、幹部会議の位置付けは「教育が70%」といわれます。会議で何を教育するのでしょうか?

第一は、幹部意識の高揚です。

 まず、会議に出席できることが、幹部であることの一つのステータスとします。出席する(できる)以上は、傍聴は許しません。必ず、意思・意識をもって参加し、議論に参加し決議に参加させることが重要です。これを繰り返し、繰り返し指導します。幹部としての意識と責任感が、知らないうちに養われます。

 「名ばかり管理者」は不要。というよりも会社にとって罪悪です。

第二は、ケジメの管理

 最初に行うべきことは、時間のケジメをつけさせることです。会議への出席時間は遅れるのが当然で、これが中国流だとよくいわれます。遅れる理由は必ずありますが、会議の重要性と比較して、遅れる理由となるものはほとんどありません。要するに優先順位を自分流に勝手に判断されているわけです。

 遅刻は、絶対に許さない姿勢を強調したら、1ヶ月も経たずして直ります。もちろん重要な用件で遅れることもありますが、主宰者に無断で遅刻することは皆無となるはずです。「会議に遅刻するのは中国流だ」というのは嘘です。

 なお、強制力だけでは直りません。会議の重要性と、参加することの意義を感じなければ意識は変わりません。

 時間のケジメが出来れば、公私のケジメ、仕事の終始のケジメなどを身に付けさせるのは容易なことです。

 意外に大変なのは使用言語です。会議は公式な場ですので必ず普通語で通させます。会社幹部は中国全土からの出身者がいますし、日本人も普通語しか理解できないでしょう。

 地方語(蘇州語など)は私語として厳禁します。相手を非難したり、雑談的な会話だったりした場合は自然に地方語となりますので、ケジメが明確につきます。

第三は、経営理念と方針の共有です。

 会社をどのような方向で経営するのか全幹部がそれを共有できるまで理解し、ベクトルが合致している必要があります。幹部研修で、これを行うこともできますが、基礎教育として会議の場面で、それぞれの事例に応じて議論しながら繰り返し洗脳できるはずです。

 当然ながら、総経理自身が経営理念と方針を固めていなければ共有化どころではありません。しかし、新年度の方針などは、幹部諸侯と議論しながら作っていくことも必要です。

 新方針に限らず、議論したら必ず決定しなければなりません。「議して決せず」という悪習を無くさなければ、会議の権威は上がりません。

幹部研修の基礎は幹部会議で

 幹部会議で基本ができていれば、研修では次のステップに進むことができます。

 例えば、会社の経営理念・方針が共有化できているならば、研修ではそれを自分の職場に如何にかみ砕いて下ろすか、幹部個人の行動指針へ如何に下ろすか、などへ発展して行き、いっそう充実できます。

 研修では、主に実技・演習を多く取り入れて体に浸み込ませます。実技・演習の代表的なものは、グループディスカッション(G.D)です。これにより、討議のしかたと意見のまとめ方を学びながら、理論を自分のものとします。

 同時に、チームプレイも学びます。中国ではこれが極めて重要ですね。

 研修の実際と進め方は、次号にて詳しく学びます。

佐藤 忠幸

佐藤 忠幸

佐藤中国経営研究所 代表 (上海在住)

専門分野

企業管理・人事労務・労使関係・品質管理・幹部・5S研修・社内規定

電子・機械・成型・縫製など異業種製造業数社で、日本および海外子会社で数多くの会社立ち上げと再建業務に携わる。現在は上海と横浜を基盤として、幅広く、経験に基づいた相談と指導を行っている。各社顧問と各種セミナー講師および雑誌や新聞への執筆多数。

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