2014年04月10日(月)

中国の幹部教育 ④集合教育の利点

佐藤中国経営研究所 代表 佐藤 忠幸

 OJT教育(個別実務教育)について学びましたので今月号ではOFF-JT(集合研修)について学びます。OFF-JT(集合研修)は、時間もお金もかかります。しかし、知識以外に集合研修でなければ得られないものが数多くあります。

気づきが得られる

 仲間や他人と、議論や演習をする内に自分が知らない「自分」を発見できます。強み・弱み、長所・短所などです。もちろん講義・講演でもそれは出来ますが、グループで演習を行なうことにより、仲間が自然に教えてくれ、早く気づきます。 逆に言うと、それが出来るカリキュラムでなければなりません。

新たな目標設定ができる

 新しい自分を知る、すなわち「気づき」を得られたら、新たな目標が自然に設定できます。これを研修の中に組み込むことが重要です。新たな目標に挑戦することによって人は成長するからです。先輩から教わる知識や実務とは異なる、自分をかき立てる目標が生まれるはずです。それを書き出させます。

動機付けができる

 新たな目標が生まれれば、これに挑戦する動機付けが得られます。これも自ら書き出して職場に持ち帰ります。単に「知識が得られた、良かった」では、研修会場を出たら心や頭の中から消えます。それでは意味が無いですね。

職場に持ち帰った「新たな目標と動機付け」は、フォローが大切なことは言うまでも無いことです。できればフォローアップ研修を企画してください。

チームワークを学べる

 気づき、新たな目標設定、動機付けは、座学では難しい課題ですが、グループディスカッションやゲーム、演習などを通して容易に学ぶことができます。それには、単なる講習で終わらせず「グループで行なう」というのが秘訣です。

グループで行なうことにより。チームワークあるいは団体行動が身につくという大きな副産物が生まれます。

これは、中国ではありがたいことですね。

しかし、グループで演習問題などを行なう場合でも、競い合う相手がいないと効果も半減されます。したがって、グループは最低2つ、できれば3つ以上となるように人数調整をします。1グループの人数は、5人以上が望ましいですね。

1グループに、得意、不得意の様々なタイプが混じるようにも工夫します。

PDCAを学べる

新たな業務を行う場合、方針をたて、戦略をたて、戦術を考え、計画を作り、調整し、行動する。結果を見ながら修正・対策を考える。すなわち自らPDCAサイクルを廻すことが重要だと、何回も学びましたが、研修中の演習問題で実践的に学びます

  • 仕事を行なう前に、準備・計画など考える Plan
  • 考えた順序と方法で仕事をする Do
  • 仕事をしたら振返り確認をする Check
  • 問題があったら対策を考える Action ・・・ 再び Planに戻りグルグルと回し始めます。

Planの無い仕事はあり得ません。また、仕事は、言われたとおりに行うだけでは「プロ」とは言えませんね。

グループで演習問題を行なう場合、「いきなり課題にガムシャラに挑戦」するのと、まず、グループで「戦略をたて、戦術を考え、計画を作り、調整」してから課題に挑戦するのとどちらが速く正確かを実体験してもらいます。

PDCAは、幹部の絶対必要要件ですが、集合教育で何回も実習をしなければ使いこなせるようにはなりません。
集合研修には、以上のほかにも工夫すればするほど様々な効果があります、色々と挑戦してみてください。

佐藤 忠幸

佐藤 忠幸

佐藤中国経営研究所 代表 (上海在住)

専門分野

企業管理・人事労務・労使関係・品質管理・幹部・5S研修・社内規定

電子・機械・成型・縫製など異業種製造業数社で、日本および海外子会社で数多くの会社立ち上げと再建業務に携わる。現在は上海と横浜を基盤として、幅広く、経験に基づいた相談と指導を行っている。各社顧問と各種セミナー講師および雑誌や新聞への執筆多数。

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